出版社内容情報
坂岡真[サカオカ シン]
内容説明
京から江戸に戻った将軍毒味役の矢背蔵人介は、相番を務める同僚の桜木兵庫から娘の縁談を聞かされる。しかし、縁談相手の由緒ある乙山家の息子には悪評が。そして、相番の娘は窮地に陥る―。一方、城中では大御所・家斉の奇行が目立つが、家斉を守っていた小姓が何者かに惨殺された。「鬼役」蔵人介の怒りがついに爆発する!人気シリーズの傑作第二十一弾。
著者等紹介
坂岡真[サカオカシン]
1961年、新潟県生まれ。11年の会社勤めを経て文筆の世界へ。花鳥風月を醸し出す筆致の時代小説を描く。その作品の質の高さには定評があり、「鬼役」シリーズは驚異の7カ月連続刊行で話題となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
94
今回は毒見役の相方である桜木の娘の嫁入りに関しての話があり、これも金の話がからんで、主人公の活躍があります。相方は大坂へ行くことになります。また家斉がかなりぼけてきてそれに伴っての権力闘争がらみの話や、老中水野と鳥居が過去の話で理不尽なことをしたにもかかわらず主人公が守らなければならない話もあります。佐伯さんの作品が数すくなくなった今はこのシリーズのみ楽しみです。2024/08/20
いつでも母さん
94
シリーズ21弾。連作3話、今回は蔵人介怒る!そして辛い。『鬼役』としてか禄を食む幕臣としてか、はたまた人としてか。忠臣とは一体何を以っていうのか・・「情を捨て、淡々と役目を全うせよ」何度も言われた台詞が重くのしかかる。なんだか鬼役様、『密命』の方が苦しくなってきたようですね。家斉が身罷っていよいよ時代は変換期になってくる。その時どうする?そろそろ鬼役も代替わりの時を迎えるのだろうかー今回はじっくりと読ませて頂きましたが、蔵人介の気持ちに添うて私の心も晴れないのだ・・2017/04/15
とし
88
鬼役「不忠」21巻。 何故かしっくりこないで無念だけが残りました。2017/07/14
えみ
45
信じた人に裏切られることが多い因果な務めではあるが、不信感を抱いていた者を見直すという稀なる事が起こった本作。表の顔は将軍の毒味役であり、裏の顔は幕臣の不正を断つ暗殺役を務める矢背蔵人介が活躍する鬼役シリーズ第21巻。蔵人介が自分の出生の秘密を知ってしまった前作の衝撃は読者に預けて、当の本人は引き摺ることなくわりと日常がスムーズに始まっていく。…と思ったら、やはりそうはいかない。悪い奴らは手を変え品を変え蔵人介の前に現れ立ち塞がる。忠義を貫くことでこれまでいくつ大切なモノを失ってきたのか。不忠ここにあり。2024/06/15
ベルるるる
26
鬼役の影の仕事である暗殺は、何よりも「正義」がなければならない。何よりも「本物の悪」の成敗でなければならない。それが、このシリーズの核の部分であるはず。今回、御槍指南役の狭間三郎兵衛、湯方御家人の山田周平、叔父の宗像理左衛門・・・。この3人には、正義はないのか。本物の悪なのか。読み手にはそう思えない。権力闘争に巻き込まれている。だから、読後感が悪い。2017/07/23