出版社内容情報
あさのあつこ[アサノ アツコ]
内容説明
北町奉行所定町廻り同心、木暮信次郎の同僚で本勤並になったばかりの赤田哉次郎が女郎と心中した。その死に不審を抱いた信次郎は、独自に調べを始めた矢先、消息を絶つ。信次郎に仕える岡っ引の伊佐治は、思案に暮れた末、遠野屋清之介を訪ねる。次第に浮かび上がってきた事件の裏に潜む闇の「正体」とは―。あさのあつこの代表時代小説シリーズ、待望の第五弾!
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年岡山県生まれ。『バッテリー』で野間児童文芸賞、『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、「バッテリー」シリーズで小学館児童出版文化賞を受賞。2011年、『たまゆら』で第18回島清恋愛文学賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
138
シリーズ⑤の一冊。真冬にこのタイトルの巻を読めてまず自己満足。そして心中事件の闇を暴く信次郎の魅力がたっぷり味わえてさらに満足。危険な男と言われる信次郎の言動にはまるで刃を向けられたかのようにヒヤヒヤしつつも、彼の絶対的な推理と自信、手腕に惚れ惚れした。信次郎の胸の内はあくまでもチラ見せ、そこがまたそそられる。清之介と信次郎のお互いを見る目、距離もグッと増した。木暮さまの全てを知りとうございます…の清之介のセリフはちょっとBL感じてドキドキ。同じく、自分も危険を承知で彼の全てを知りとうございます…。2022/02/07
KAZOO
136
このあさのさんのシリーズも佐伯さんの時代物シリーズと並んで読ませてくれます。第5冊目になってあと2冊出ていますがその後も出してくれるのでしょうか?ここでは3人の主人公の一人の同心の若い同僚であった人物が遊女を切り殺し切腹していた、というところから事件が始まります。同心は現場を見ておかしいと感じ、十年前に起きた事件と同じ、と思います。その後他の主人公や関係者の協力を得て解決しますが、この同心の鋭い嗅覚は、シャーロック・ホームズに似ていると感じます。性格的にはモリアーティ教授似なのでしょうが。楽しめます。2019/08/16
りゅう☆
92
夫が女郎を殺し心中。妻は必死に生き抜き今は上総屋のお仙として信次郎と関係を持つ。そして信次郎の同僚赤田も女郎を殺して心中した…かのように思われたが、その死を不審に思った信次郎が動き出す。相変わらずお互いのことが気になる信次郎と清之介。一触即発を伊佐治が鎮火し安堵。信次郎の頼みでお仙の警護を引き受けた清之介に驚き。どちらかといえば清之介の心意気や人柄に心惹かれるけど、今回は信次郎の絶対的な自信に魅力を感じた。些細な事に気付き複雑な真相を見抜く。清之介の研ぎ澄まされた感には目を瞠るが、女に関しては鈍感だなぁ笑2021/09/07
はつばあば
66
木暮と遠野屋の間に伊佐治がヤキモキ。信次郎の闇は途轍もなく深いのか・・どんな生い立ちなのかとても気になる。同じような闇を持つ清之助は女に助けられて抜け出られたはずだが、信次郎に振り回される。時代物推理プラス二人の心理描写から目が離せないのは読者と伊佐治。底なしのような闇もいずれは解けることを願うが、あの信次郎の辛辣さだけは残して欲しい。どっぷりと暗い深い井戸の中を、身を乗り出して覗き込んでいるような気分でした。このシリーズと六道慧氏の「公儀鬼役御膳帖」シリーズだけは手放せない2016/12/12
moonlight
49
久しぶりの弥勒シリーズ。清之介、信次郎、伊左治のそれぞれのキャラが生きた展開になってとてもいい。信次郎なじみの旅籠の女将、お仙の過去を絡めて複雑な事件の謎解きが楽しめた。ただの商人として生きていきたい清之介を事件解決に巧みに巻き込む信次郎が不気味でもある。そこにお仙やおうののような女性が存在することでやや不穏な雰囲気が和らいでいるが、さてどうなっていくのか。続きが気になる。2021/08/08
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