出版社内容情報
ママカーストの世界や、人間の暗部をまざまざと鋭い筆致で描き出す。「VERY」連載時から話題騒然の作品、ついに文庫化!
内容説明
高級タワーマンションに暮らす岩見有紗は窒息寸前だ。ままならぬ子育て、しがらみに満ちたママ友たちとの付き合い、海外出張中の夫・俊平からの離婚申し出、そして誰にも明かせない彼女自身の過去。軋んでいく人間関係を通じて、徐々に明らかとなるそれぞれの秘密。華やかな幸せの裏側に潜む悪意と空虚を暴き出す。人気女性誌「VERY」連載時から話題沸騰の衝撃作!
著者等紹介
桐野夏生[キリノナツオ]
1951年金沢市生まれ。’93年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、’98年『OUT』で日本推理作家協会賞、2004年同作英訳版が日本人初のエドガー賞候補となる。1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、’04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、’05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、’08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、’09年『女神記』で紫式部文学賞、’10年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、’11年同作で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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184
🌟🌟🌟🌟☆。¥110。積読本。俺が思う優れた作家の(作品)条件のひとつは(ストーリーなんて実はなんでもいい)あたかもそれがどこかで本当に起こっているかのように錯覚した状態になれる作品。作家が小説という表現手段を使って見たままをスケッチしてそこに「作家の個性(例えば予定調和等)」的な不純物が混ざらないようにそのまま読者に伝える事に成功している作品の事を言う。そういう意味ではこの作品は🌟5点満点で良いと思う。桐野夏生作品に感じる後半の失速感もなく全体を通した流れも一定でそこも良かった。2022/08/03
のり
173
ママ友絡みの話は大抵重くのしかかる。地方に住む自分からみれば、都心の一等地に住んでいるのに、格差を感じなければならないのは不思議だ。一般人家庭からすれば皆裕福なのに…稼いでるのは旦那なのに、言動がいちいち鼻につく。抱えている悩みもあるのだが、誰一人共感出来る人がいない。子供の為と言いながらも、引っ掛かるのが多かった。読後感はスッキリしないが、続編も勿論気になる。そこも桐野作品の魅力の一つかも。2018/07/20
まちゃ
171
桐野さん初読みでした。東京湾岸のタワーマンションに暮らす岩見有紗は、ままならぬ子育て、ワンランク上のママ友たちとの付き合い、海外出張中の夫・俊平からの離婚申し出で窒息寸前。前半は子育て、ママ友、夫婦関係で追い詰められた有紗の焦燥感が辛かったです。後半は狭い人間関係に汲々としていた有紗が「地に足をつける」決意にスッキリしました。後に引きずるものがないラストで読後感は良かったです。2016/06/10
相田うえお
161
★★★★☆18009 適度な苛つきでプチおすすめ!住まいは超高層マンションの29階。主人公ママはひとりで小さな娘を育ててる。父親は離婚を要求したままアメリカに行ったきり。差別や仲間はずれを嫌い、嘘や背伸びをしてでも見栄っ張りなママさん達と付き合って虚栄,優越感に浸る。こんな設定で始まる話なのかな?当たり前ですが、過去は辛いものであっても消せません。これは本人以外にとっても辛い場合があり、そこから誤解が生じて行き違いも。。取り返しがつかなくなる前に話し合う事は大切。でも言葉って選択間違えると逆効果ですから。2018/01/23
納間田 圭
142
東京湾岸に聳え連立するタワーマンション。群れる群れる…”ママ友”たちの生態。特殊で異様な仲間社会。虚栄と見栄。おせいじと…おべっか。巧妙な言い訳。目が笑ってない笑顔。嘘から嘘の上塗り。お互いに相手を本名じゃなく…子供の名前にママとつけて呼び合う。夫の年収職業、住んでいる階数、実家のレベル、子供の成績で序列。妻自身の値打ちや尺度に全く関係ない格付。そして…ボスママが存在。「ママカースト」なんて言葉もあるとか。とにかく仲間外れにされないように保身に身をやつす。そんな憧れのタワマンに住む夢見る女達を…一刀両断2023/01/08