出版社内容情報
光文社文庫での上田秀人デビュー作品を、著者の徹底修正とともに新装版で刊行。続巻も2カ月連続で刊行予定。
内容説明
無役の小普請から念願のお役に就いた御天守番の工藤小賢太は、見回りに出た天守台で何者かに襲われる。小賢太は刺客を撃退したものの、それをきっかけに幕閣の政争に巻き込まれることとなる。そして、小賢太の前についに明らかになったのは、天守台に長く秘匿されてきた衝撃の「秘密」だった―。人気作家・上田秀人の光文社文庫デビュー作品に、大幅加筆した新装版。
著者等紹介
上田秀人[ウエダヒデト]
1959年大阪府生まれ。大阪歯科大学卒業。’97年、桃園書房主催第20回小説CLUB新人賞佳作。2010年、『孤闘立花宗茂』(中央公論新社)で第16回中山義秀文学賞受賞。2014年版「この時代小説がすごい!」文庫書き下ろし部門作家ランキング第1位となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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海猫
62
著者の訃報を知ったのをきっかけに、追悼の意味も込めて積読本を繰ってみた。もともとはシリーズ化の意図のない初期作品だっただけに文庫書下ろし作品ながらもドッシリとした味わいで密度が濃い。特に剣戟場面がたいへん多くそれも雑魚を切り捨てるようなものではなくて、強い刺客が次々と現れ主人公・工藤小賢太がなんとか紙一重で倒す展開。なので一定のスリルがあるし描写は乾いて陰惨さがないので小気味よく読める。バックボーンには陰謀ありきだが一冊本なので綺麗にまとまった。続編の「夢幻の天守閣」があるので、折を見てまた読んでみよう。2025/04/15
はかり
10
上田英人の初期のころの作品らしい。剣戟の場面がうまいのはさすがだと思うが、殺戮の惨たらしさは眉を顰める。将軍の妾を守る小賢太は懸命に職務に励む。ここまでやれば立派だ。2018/11/05
わたしは元気
8
顔も見られないほどの身分の差がある人と、結婚できるかな? びびって、手も繋げなさそう。2021/07/14
読卓
5
小普請から御天守番にお役いただけた工藤小賢太。冒頭からバッタバッタと人を斬る。強い!最後まで何人切ったか分からない。昔風に言うなら、痛快時代小説。2015/12/19
Atsushi Kobayashi
5
正直いいまして、最近の上田さんのシリーズものよりも、面白いです。ちょっと血なまぐさいのが欠点ですが、非常にテンポも良く、ちょっと多すぎるぐらいにどんどん敵が現れます。それが、割と自然で、でもぽんぽん排除していくのが小気味良い感じです。おすすめです。2015/11/29