出版社内容情報
巷説、俗説にまみれた“お家騒動”の実態を追究、“乗っ取りを企む極悪人”とされた伝蔵の人間像を鮮明に描き出す傑作歴史小説。
内容説明
加賀藩の若き侍・大槻伝蔵は、その経済感覚を買われて藩主・前田吉徳の寵臣となり、藩の財政再建に取り組む。しかし、二百三十石取りから三千三百石取りの大身に出世した伝蔵に、反目する前田土佐守ら守旧派による逆襲が待ち受けていた…。巷説、俗説にまみれた「お家騒動」の実態を追究し、“極悪非道の逆臣”とされてきた伝蔵の真の人間像を描き出す長編歴史小説。
著者等紹介
村上元三[ムラカミゲンゾウ]
1910年生まれ。’34年、「サンデー毎日」に応募した『利根の川霧』が選外佳作となり、作家生活に入る。’41年、『上総風土記』で第12回直木賞を受賞。長年にわたり直木賞の選考委員も務める。2006年逝去。享年96(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ASnowyHeron
9
主人公が淡々と出世し、淡々と没落していった様は、時間経過を刻んでいるだけのような感はあったが、読みやすかった。まさに『平家物語』の冒頭さながらだった。この騒動のことを自分が無知なまま読んでしまい、知ってから読んだら、もっといい読後感になったと、後悔している。2016/02/03
gachi_folk
5
加賀騒動の中で渦巻く私怨の嵐と真実。これまでの解釈とは大きく異なるが、村上元三が語ると一気に真実味を帯びる。前田さん家も大変だったねぇ。2016/10/11
まり☆こうじ
0
橋本忍脚本で映画化されていて、かなりの傑作だったので、原作小説を読みました。伊達騒動を再解釈した『樅ノ木は残った』が有名ですが、加賀騒動の大槻伝蔵を再解釈した本作の方が先に書かれてます。読みだすと止まらない面白さ。映画はシンプルな中に義憤が熱く弾ける正統派チャンバラ映画の傑作ですが、小説は大槻の人物像をより丹念に描いて見せます。ある意味、サラリーマン小説かもしれませんね。2018/07/08
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