出版社内容情報
クライマックスを迎える人気シリーズ、第1部完結編。
内容説明
いまや真朱の街は、妖怪“濁”が持つ無数の腕によって完全に包囲されていた。人々の憎悪を糧に強大化し続ける“濁”。県警の忌島らの奮闘もむなしく、力の弱い妖怪や人間たちが次々とその餌食にされていった。拝み屋・播磨遼太郎と百目ら妖怪たちは、ついに手を結び、最強最悪の敵に立ち向かってゆく―。凄絶な最終決戦の結末は!?人気シリーズ待望の完結編!
著者等紹介
上田早夕里[ウエダサユリ]
兵庫県出身。2003年『火星ダーク・バラード』で第4回小松左京賞を受賞しデビュー。’10年に発表した『華竜の宮』が、『SFが読みたい!2011年版』のベストSF2010において国内篇1位となり、’11年には第32回日本SF大賞、第10回センス・オブ・ジェンダー賞大賞を受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっちゃん
88
人の怨念や妄執から生まれる、最強最悪の妖怪「濁」との最後の闘い。妖怪の世界とSFが絶妙に融合した、このシリーズもとうとう、おしまい。最後に明らかになる、未来の人類の姿は「オーシャンクロニクル・シリーズ」や酉島伝法の【皆勤の徒】と共通するものが感じられて、興味深かった。8年後の播磨と牛鬼の死闘とか、きっかり1年後の相良がどんな1日を過ごすのかとか、スピンオフの短編で読んでみたいものだ。2015/11/20
巨峰
75
陰陽師播磨と妖怪「濁」との最終決戦。人間が育てたともいえる「濁」。この小説の主人公だったはずの百目もいいところで登場します。話は広がりすぎているけど、沢山の妖怪がでてくるので、映像化したら見てみたい。ウエットなところも、科学的なところもあって、なかなあ悪くなかったです。2017/09/28
naoっぴ
71
3巻目は一冊まるごと『濁』との死闘。映画かアニメを観ているようなんだけど、内容が濃くて好みでした!妖怪と人間の闘いを描いた超エンタメとして楽しめる作品ですが、一方で単なる妖怪戦争ものではない、自然と人間と科学の共生・矛盾・非両立を問いかける一面をもった深さのある作品でもあると感じました。播磨の自らの過去の清算も込めた『濁』との壮絶な闘い、そしてそれに続く穏やかな愛に満ちたラストへの流れがとても良かったです。もっと読んでいたかったなぁ。上田さんの他の作品も読んでみよう。2017/02/10
けい
70
上田作品の結末はやはり深い所へ!他作品との繋がりを想像させる内容がここへ。軽い感じで入ったシリーズも回を追うごとに、世界観が広がり、人と自然との関わり、科学と自然と人との関わりを非科学的な妖怪をと言う存在を通して描きこんで行きます。とは言え「華竜の宮」や「深紅の碑文」ほどの気合は必要ないので、読み易い。単純にエンタメとして読むのもありな作品です。2015/12/29
眠る山猫屋
69
真朱の街を覆い尽くす最悪の妖怪《濁》に、祓い屋たちと妖怪たちが手を繋いで立ち向かう、とは言え簡単に仲良くなれないのはお約束。作中にもあるように、妖怪は純粋だが人間は穢れにまみれているから・・・忌島さんや邦雄みたいに他者を思いやれる者は少ない。まぁだから彼らは妖怪に嫌われないんだけども。終極以降で語られた未来観はまさに上田さんらしくて良かった。人が人でなくなり、妖怪が妖怪でなくなる未来・・・。2017/04/24