出版社内容情報
壮麗な大自然を舞台に、観光開発の利権をめぐって狂奔する、エリートたちの愛憎を描き切った山岳ミステリーの傑作。
内容説明
北アルプス・槍ケ岳の観光開発をめぐり、鎬を削る若きエリート―国井、村越、弓場。三人は、福祉省・門脇局長への接近を図り、更に、上高地で逢った門脇の娘・美紀子の愛を得ようと争う。自分の会社に開発利権を導くために!しかし、彼女に最も近づいていた国井が殺害された。村越と弓場が容疑を掛けられるが…。捜査陣は鉄壁のアリバイを崩せるか!?山岳本格推理!
著者等紹介
森村誠一[モリムラセイイチ]
1933年埼玉県熊谷市生まれ。青山学院大学卒。ホテルマンを経て、作家となる。’69年『高層の死角』で第15回江戸川乱歩賞、’73年『腐蝕の構造』で第26回日本推理作家協会賞を受賞。2003年には日本ミステリー文学大賞、’11年には吉川英治文学賞を受賞した。ミステリーを中心に、歴史小説、ノンフィクションなど多岐にわたる分野で活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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goro@the_booby
41
アルプス山中のアリバイを崩すことが出来るのか。さすがに道具の機構を知らないと解けない謎だけれど、山の描写は行きたくなってしまいそうです。森村誠一山岳サスペンスシリーズ次も読みたい。2018/02/04
coco夏ko10角
22
読み終えてから約五十年前の作品と知ってびっくり、良くも悪くてもそんな感じがしない。トリックはそれに詳しくないからちょっとぴんとは。最後哀しいなぁ…。何度か話に出てきた空港ホテル殺人気になったからそのうち読んでみたい。2020/04/24
yamakujira
8
空白の一日ができちゃうからバレるよなぁ、と呆れる一方で、トリックの着眼点は小説らしくて、なるほどと思わせてくれた。それよりも、男に見捨てられた3人の女がみんな、前夜に男に処女を捧げたって共通項の意味がわからない。処女を守った美紀子と対比して、婚前交渉するような女は不幸になるって作者の価値観が反映されてるのかなぁ。槍ヶ岳の開発問題なんて、現代ならば検討課題にもならないことが事件のポイントになったり、登場人物の言葉遣いとか、列車とかカメラとか、いろんな箇所に時代を感じるのがおもしろかった。 (★★★☆☆)2016/07/19
びん
3
槍、穂高、鹿島槍に五竜岳・・・。 個人的に好きな山域が舞台だっただけに、景色が目に浮かび、主人公と一緒に山を歩かせてもらった。 ただ、カメラの構造は想像に難く、トリックの解明について行けなかったのが、ちょっと残念。(^_^;) 高村さんは、山岳を舞台にした小説をたくさん書かれているようなので、ほかの本も手にしてみたい。(o^^o)v 2017/05/30
ヨコケイ
2
日本アルプスの観光開発利権に纏わる連続殺人。監督庁の官僚の娘に観光三社の社員がアプローチ、かぐや姫状態になる。美貌の娘とコネを巡って鞘当てを繰り広げる三人にはしかし恋人を見殺しにした後ろ暗い過去が仄めかされる。やがて一人が殺されて…てな出だしがお馴染み那須班の捜査に接続。油断していると思わぬ転調が。その帰結として犯人があっさり示されるのは直後に真にメインのアリバイ崩しがたち現れるから。この複数のハードルを用意する展開も森村印。サブもメインもちまっとした機械トリックなのだが舞台設定でさほど気にならない。2018/09/23