内容説明
橋の下で見つかった男の屍体の中から瑠璃が見つかった。探索を始めた定町廻り同心の木暮信次郎は、小間物問屋の遠野屋清之介が何かを握っているとにらむ。そして、清之介は自らの過去と向き合うため、岡っ引きの伊佐治と遠き西の生国へ。そこで彼らを待っていたものは…。著者がシリーズ史上ないほど壮大なスケールで描く「生と死」。超絶の「弥勒」シリーズ第四弾。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年岡山県生まれ。『バッテリー』で野間児童文芸賞、『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、「バッタリー」シリーズで小学館児童出版文化賞を受賞。2011年、『たまゆら』で第18回島清恋愛文学賞を受賞する。児童文学から一般文学、時代小説、スポーツ小説までとその著作ジャンルは広い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
129
浅野さんのシリーズの時代小説第4作目です。主人公の商人の元いた藩への旅立ちが中心となっています。同心は江戸を離れられないので十手持ちが一緒に行くことになります。もとの藩の財政を立て直すために紅花の栽培を提案して、権力闘争をやめさせます。佐伯さんの磐音シリーズを思い出しました。それにしてもこのシリーズの3人の主人公はそれぞれ性格が異なるものの魅力的ですね。2019/08/12
ちょろこ
126
シリーズ4の一冊。信次郎と伊佐治。この二人を、屍体の中に隠されていた瑠璃が導いた先は遠野屋清之介のもと。この導かれ方といい、やっぱり切っても切れない縁を感じる信次郎と清之介の二人。そしてこの瑠璃があの過去、清之介にとって忘れられやしないあの過去、大切な人との優しい思い出に絡んでくるとは。今作は清之介&伊佐治の旅という意外な展開を始め、内から外への動なるものを感じた。清之介の人としての、商人としての姿が眩しい。過去へ向き合った故の大きな商人としての決意、大切な人達のために一歩外へと踏み出す姿がカッコいい。2022/01/19
いつでも母さん
118
シリーズ4弾、字は違うがこっちの『伊佐治』も好きなんだなぁ私。だが今回は出番が少ないような・・遠野屋の本領発揮の回でしたね。まさかの隠れキリシタンかぁ・・かなり間をおいての読書だったので、入って行かれるか?と思うものの、あっという間にこの世界の住人に。あさの作家、このシリーズを終わらせないで欲しいと思っているのは私だけではないだろうな。過去を木暮に晒し、商人としてこの先どこまで行くのか『遠野屋』を、清之介を見てみたい。さあ、次巻もこのまま突入するとしようか。 2016/02/19
優希
101
久々に弥勒シリーズを読みました。とはいえ、3作目を飛ばして4作目を読んでしまったようです。それでも独立した話として楽しめました。屍体から瑠璃が見つかったことから全ての物語が繋がっていくのが何処となく闇の香りを漂わせています。それはこの物語が「生死」を描いているからに他ありません。皆が生きようとしているのが伝わってきます。そして何より大きいのは清之介が過去と対峙したこと。伊佐治との故郷への旅が過去との決別になり、新たな出発点になったと思います。今後どのような道を歩むのかを見届けたいなと。2017/01/07
りゅう☆
88
男の屍体から瑠璃が見つかった。信次郎はまたもや遠野屋に何か関わりありと睨んでる。清之介に若侍伊豆が殺された弟の仇の手助けを求めるも、人を斬らぬと決めた清之介は断固拒否。乳母すげが清弥に渡した守り袋の中身とは?信次郎の言葉で過去にけじめをつける旅に出た清之介。清之介と信次郎、磁石のSとNのよう。心を許してないのにお互いの存在が大きい。清之介にお供した伊佐治も二人には必要な存在。刀を握らず兄の敵と交渉する。清之介の根っからの商人魂に畏敬の念を抱いた。前に進み始めた清之介。それを後押しした信次郎にもやはり感服。2021/08/17
-
- 和書
- ウルトラマン大怪獣図鑑