内容説明
古今東西、書物にまつわる小説は枚挙に遑がないが、近年は、古書を題材にした作品が注目されている。推理文壇の名匠たちが古書への深い知識と卓抜した技巧を凝らして綴った粒揃いの傑作を収録。好評を博した推理アンソロジー第二集!口絵・江戸川乱歩。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
71
古書をめぐるミステリーのアンソロジー第2集です。江戸川乱歩の口絵を除くと11の作品が収められています。逢坂剛さんの作品以外はすべて初めてでした。山田風太郎のはミステリーというよりもエッセイですね。皆川博子さんのは「猫舌男爵」という題名でマニアックな感じでよかったですね。ほかの作品もさまざまな楽しみを与えてくれます。2015/06/14
seraphim
37
古書にまつわるミステリーを集めたアンソロジー第2集。初読の作家が多かった。全部で11編おさめられている。坂口安吾の「アンゴウ」は最後にうるっとしたのもあり、1番好きだった。逢坂剛の「五本松の当惑」はコミカル。これは御茶ノ水警察署シリーズの中の一編ということだが、他のお話も読んでみたくなった。こういうアンソロジーでなければ、読まなかったであろう作家さんの作品に触れたので、自分の世界を広げる良いきっかけになったと思う。2014/10/05
マカロニ マカロン
16
個人の感想です:B+。古書に関するミステリー短編集。軽井沢旅行中に読んだ『異説・軽井沢心中』(土屋隆夫)は有島武郎の心中事件の話。今回塩沢湖畔の有島家別荘浄月庵にも行ったので見事にだまされ、余計面白く感じた。『アンゴウ』(坂口安吾)は戦中戦後の色濃い話。『愛書家倶楽部』(北原尚彦)は思いも寄らないグロな方向に転換して驚愕。『猫舌男爵』(皆川博子)リトアニアの大学で日本語を学ぶ学生が、漢和辞典片手に直訳していくことからとんでもない勘違いが起きる。ユーモアミステリーとして最も面白かった。猫舌は拷問刑?(笑)2022/09/23
ひなきち
16
安定の面白さ!古書は、ものがたり性があって色褪せない魅力があります。今回も豪華なラインナップで最後まで堪能しました。特に印象に残ったのは、坂口安吾「アンゴウ」、北原尚彦「愛書家倶楽部」、山田風太郎のミニエッセイ…(なんかジンとしてしまい涙)でした。読書家の薦める本は本当に読んでみたくなります。ああ…積読本タワーがもう一棟、いや二棟建ちそうだわ…!2016/08/23
くみ
14
「古書」をテーマにかかれたミステリーのアンソロジー集。この第一作目、坂口安吾の「アンゴウ」が参加した読書会の課題本でした。 時代は戦後の日本。古本屋で見つけた本は戦死した友人のもの、そこには暗号が記された紙が挟んであった。。結末に辿り着くと、温かいものが込み上げてくる。やり取りのひとつひとつに楽しい笑い声が聞こえてくるかのようで。特にもう一つの課題本「紙の動物園」を読んだ直後だからかもしれません。この主人公の疑い、言動をよんでると、川端康成先生の「再会」の祐三と富美子のことを思い出しました。2017/09/09
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