光文社文庫
終の信託

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  • サイズ 文庫判/ページ数 257p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784334764197
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

呼吸器科の医師・折井綾乃は、患者を安楽死させた疑いで告発される。「最期のときは、長引かせないでほしい」―十八年にもわたって担当医を務めた、重度の喘息患者・江木秦三の願いだった。医師と患者という関係を超え、固い絆を育んできた二人。愛する者の思いを受け入れた彼女を待つ、過酷な運命とは?(表題作)。現役の法律家が実在の事件を元に描く、魂の物語。

著者等紹介

朔立木[サクタツキ]
現役の法律家。2001年、裁判官の知られざる真の姿を描いた『お眠り私の魂』でデビュー。’04年に発表した『死亡推定時刻』は、冤罪が作られる過程をリアルに綴った、骨太な社会派ミステリーの傑作として高い評価を受けベストセラーとなっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふじさん

85
初読みの作家。呼吸器科の医師・折井綾乃は、患者を安楽死させた疑いで告発される。18年にもわたって担当医を務めた、喘息患者・江木秦三とは医者と患者という関係を超える固い絆で結ばれていた。そんな彼女が何故、いまさら告発されるのか?いよいよ検事との対決となるだが、取り調べの割り切れない気持ち、分かって貰えないもどかしさ、怒り、哀しみ、無力感。国家権力の恐ろしさが伝わってくる。検事と綾乃のやり取りは、法律家ならでは迫力と切迫感があり読み応えあり。「よっくんは今」も、表題作とは違って意味で楽しませて貰った。 2023/11/11

takaC

80
文庫本を買った数日後に同著者の『命の終わりを決めるとき』という単行本を図書館で読んだら、収録されていた二篇のうちの一つが「終の信託」という話だったので半分損したと思ったが、この本読んでみたらもう一篇も単行本と同じ話で、最後のページに「改題して改装した」と書かれてた。とほほ・・・2015/08/15

あすなろ

79
朔氏の作品は初読み。現役の法律家とある。そのリアリティは流石で、検察での描写は迫真感がある表題作。そして、1人の女医と1人の患者の死とそれまでの経緯を巡るやりとりの描写。結末やその後がないことに少々消化不良感があるが、これはこれで良いのかもしれないとも思うが…。2021/06/20

chantal(シャンタール)

78
先に文句から。え、そこで終わる?あまりに唐突過ぎない?超モヤモヤしながら、アタフタしながら次に入ったため、そうでなくても次の話は変な話で、警察も被疑者もなんじゃこりゃ!怖い!で、表題作。尊厳死、安楽死・・難しい問題だ。もし家族だったら?自分だったら?今は「苦しまずに死にたい、綺麗に死にたい」と思っても、いざとなったら生きたいと思うかも。でもやっぱり苦しむのは嫌。でもでも、そんな究極の選択を誰にさせるのか?終の信託を託せるような信頼できるお医者さんに出会えるといいけれど。それにしても、恐ろしいのは国家権力。2021/08/30

Pure

31
「終の信託(命の終わりを決めるとき)」と「よっちゃん」の二編。終の信託を終末医療の物とか、恋愛物とか読む方が多いようですが、二編とも裁判に於ける真実の問題と私は読みました。真実というと普通は絶対的真実を意味しますが、それは神にしか分からないこと。裁判では実体的真実と呼ばれるものを追い求めつつ、手続き的真実とか形式的真実とかいうものにより判決が下される。その元になるのが供述調書と呼ばれる創作品。そのやるせない矛盾を突いた作品が本作。だから読んでいると、それは違うよと苛つかされること間違いなし。それが調書。2015/07/11

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