内容説明
時は紀元70年のローマ。皇帝ウェスパシアヌスが基盤を固めつつあるころ、銀の産地ブリタニアではインゴットの横領が頻発していた。ならず者の手から娘を助けたおれ(ファルコ)は元老院議員の依頼を受け、鉱山奴隷に身をやつして、そのからくりを暴くことになった。そしてかの地では、最愛のヘレナと巡り合う…。―E・ピーターズ亡きあとの歴史ミステリーを牽引する待望のシリーズ第一作ついに登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Panzer Leader
52
紀元70年頃ウェスパシアヌス帝統治のローマ帝国を舞台にした歴史ミステリーというか現代風ハードボイルドっぽいなあと思っていたら、作者はそれを意識して書き上げたと解説にあり納得。しがない貧乏密偵でありながら、真相究明のために鉱山奴隷に身をやつしたり、皇帝やその息子たちにも物怖じせず自我を通したりとなかなか骨っぽい。でも語り口はシニカルかつユーモア溢れているんで楽しく読了。このシリーズも追っかけようって最近読みたいシリーズが増えるばかり。2019/04/26
鐵太郎
18
銀の子豚の謎を追って征服されたばかりの辺境のブリタニアへ。そこの鉛鉱山での過酷な労働と、死の危険。美しい、離婚したての女性、ヘレナ・ユスティナの護衛を依頼され、この女の毒舌に耐えるファルコ。発見してしまったローマ皇帝への陰謀。奇妙な責任感。時代背景はかなりしっかり押さえているようですが展開するドラマは実に現代的です。シニカルなユーモアが最高。次回はどんな展開になるのか期待。 2005/10/12
はる
16
図書館本。(ファルコといえば修道士だろ…)とか思いながら読み始めた密偵の物語り。紀元70年のローマの人々の丈夫なこと。政治、経済、美食、美容服飾、インテリア!などなど。イギリスが地の果て扱いならそのころの日本はどんな生活をしていたものやら。ちょっとトーガの裾を踏んづけてやりたいほど。皆さまのお名前がややこしく覚えにくいのですが、あと何冊かお付き合いさせていただくことになりそうです。銀の仔豚ねぇ。2016/04/16
湖都
13
舞台はAD70年のローマ。主人公ファルコはしがない密偵である…。と言っても、あまり隠密行動はしていないし、陽気でユーモアに溢れた性格。ハードボイルドではない。ブリタニアへ旅をしてみたり、高貴な身分の令嬢と恋をしてみたり、沢山いる家族の面倒をみたり、忙しい密偵である。19世紀のロンドンが舞台の身分違いの恋物語と、20世紀のニューヨークが舞台のミステリを足して2で割ったような物語だ。ミステリ度は低いけど…。ローマの文化を読むのも面白い。シリーズを読み進めてみようと思う。2018/06/26
ヨコケイ
8
密偵ファルコの1。AD70年代のローマ。偶然、凶漢から元老院議員の娘を助けた密偵(≒探偵?)が事件に首を突っ込む。むやみやたらなワイズクラックといい、PI小説のパロディめいた一人称は、はじめやり過ぎに感じたが、皇帝位を廻る陰謀絡みの殺人がそれなりに陰惨なので、バランスはとれてるかも(マンマや姉に頭が上がらないのが、ステロタイプながらイタリアっぽくて可笑しい)。歴史風俗描写の楽しみがあり、属州への潜入作戦はスパイ・冒険物の趣き、後半も、謎解き…ロマンス…と、最後までてんこ盛りの、素敵な娯楽作。2021/04/07
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