内容説明
正直で有能、分別と信仰心を持つ奴隷頭のトムは、ケンタッキーのシェルビー農園で何不自由なく暮らしていたが、主人の借金返済のために、奴隷商人に売却されることに。トムが家族との別離を甘受する一方、幼子を売られることになった女奴隷イライザは、自由の地カナダへの逃亡を図る。
目次
人道を謳う奴隷商人
母親
夫として、父として
アンクル・トムの小屋の夕べ
売られた奴隷の心情
逃亡発覚
母の苦闘
イライザの逃亡
上院議員もやはり人の子
売られていくアンクル・トム
動産、よからぬ考えを抱く
合法的取引の実態
クエーカー入植地
エヴァンジェリン
トムの新しい主人のことなど
新しい奥様の言い分
自由黒人の防戦
オフィーリア嬢の経験と見解
著者等紹介
ストウ,ハリエット・ビーチャー[ストウ,ハリエットビーチャー] [Stowe,Harriet Beecher]
1811‐1896。コネチカット州リッチフィールドで、神学者の父と、教養人の母の間に生まれる。1851年に週刊新聞に小説「アンクル・トムの小屋」を連載開始。翌年に二巻本として刊行されると、1年で30万部という当時としては異例のベストセラーとなる
土屋京子[ツチヤキョウコ]
1956年生まれ。東京大学教養学部卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まふ
97
ケンタッキーの奴隷アンクル・トムは優しいが無能な主人シェルビーに売られてニューオーリンズの富豪サンクレアの家に住む。主人のオーガスティンは優しいが成り行き任せ、奥さんマリーは奴隷を当たり前のように扱う病弱の人、主人は家政婦として北部のしっかり者の従姉オフィーリアに来てもらう。娘のエヴァンジェリンは天使のようだ。一方奴隷の美男美女ジョージとイライザは奴隷商人から逃げてクエーカー教徒の保護の下自由人と宣言するが警官を含む追手に追いかけられ何とか危機を脱する。さて下巻は。2023/06/23
優希
43
奴隷という習慣があった時代を突きつけられたようでした。奴隷の売り買いが日常茶飯事だったのでしょうね。下巻も読みます。2023/05/17
ブラックジャケット
12
奴隷制問題で揺れていた南北対立時に出版され、大きな反響を生んだ古典。現代の眼で見れば、白人に従順なトムの描写はNGなのだが、奴隷が商品として流通していた時代を考えれば、むやみに批判してもしょうがない。ケンタッキー州は、まだ南部の農場のような苛酷な労働でないが、肝心の シェルビー家が傾き、苛酷は奴隷商人にアンクル・トムとイライザと彼女の息子ハリーが売られた。イライザの夫のジョージは別の農家に売られていたが、彼も自由の国カナダへ逃亡した。逃亡奴隷と売られていくトムたち。黒い商品たちの運命はいかに。下巻に。 2023/11/06
ますみ
9
★5★2025/05/17
くりぞう
8
黒人奴隷差別を問題にした本書の舞台は、19世紀半ばの米国であり、そこから200年も経っていない。彼らは人間として扱われていない、黒人も白人と同じように家族愛を持っているのに(むしろ本書では黒人の方がその絆は強い)所有物としての扱いを受けている姿は余りにも愚劣な行為としか思えない、人間はどの動物よりも冷酷だ。しかも驚愕すべきことは、これが法で許された時代があるのだ。人間を物として扱う時代があり、それが普通のことだったという時代が。間違いなく人間の悍ましさを再認識させるため、後世へ残すべき古典の名著であろう。2025/04/11