内容説明
中世イングランド、おたずね者となった弓の名手ロビンはシャーウッドの森の奥に隠れ住む。棒術の名人、吟遊詩人、飲んだくれの修道僧など個性豊かな強者たちを仲間に引き入れながら、強欲な役人や聖職者らを相手に痛快な戦いを繰り広げるロビンだが…。著者による挿絵全点収録!イングランドの義賊伝説を元にした痛快活劇。
著者等紹介
パイル,ハワード[パイル,ハワード] [Pyle,Howard]
1853‐1911。アメリカのイラストレーター、作家。デラウェア州で裕福な毛皮商人の家に生まれる。小さい頃から文学や芸術に親しみ、16歳で画家を志す。20代前半にはニューヨークの出版社発行の雑誌に物語やイラストが掲載されるようになりキャリアを確立。その後『ロビン・フッドの愉快な冒険』(1883年)を皮切りに、次々と児童書を発表し、人気を博す。40代以降は美術学校などで後進の指導にも力を入れた
三辺律子[サンベリツコ]
白百合女子大学大学院修士課程修了。同大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ワッピー
37
その昔、村山知義・亜土訳で岩波から児童書として出ていたものの新訳。心配していた挿し絵もちゃんとあって、むしろ岩波版は子供向けにだいぶ刈り込んでいました。ロビンと愉快な仲間たちが歌うシーンでも、歌詞は省いたり、ややくどいやりとりはあっさりカット。ワッピーは岩波版で育ったから、それがリズムになってしまっていて、リトル・ジョンがロビンをやりこめるところなど、だいぶ印象が違いました。新訳は少しだけ長くなっていますが、その分、ロビンたちと一緒に旅をする時間が増え、やはり避けがたいラストの涙も二割増でした。↓2019/09/11
まこ
10
ロビン一味が、敵を倒して仲間にするポケモンみたいな展開の前半の話が好き。全編にわたって何か食べたり飲んだりする描写が楽しそうで美味しそう。ロビン達はこうやって信頼関係を築いていった。やられ役の長官が可哀想になってくる。エピローグはなくてもいいけど、悪役の勝ち逃げがイヤな人の為に書いたのかな2023/12/20
spica015
10
弱きを助け強きをくじくロビン・フッドと仲間たち。しかし義賊と称するようなヒーロー的イメージよりも、単に陽気なおたずね者たちと読んだ方がいいような雰囲気で、逆にそれが親しみやすさを齎している。美味しいものに目がなく、権威をものともせず、悪戯を仕掛けるのが大好きで、時に拳で語り合う。なんだかクラスの中学生男子たちを見ているようだった。全体的に愉快な分、ラストが衝撃的でもある。そして作者の手による挿絵もふんだんにあって見どころたっぷり。装飾文様ひとつとっても技巧的に描かれている。2019/08/01
qwer0987
9
ロビン・フッドは弓の得意な義賊として有名だが、詳しいことを私は知らない。けれど読んだ限りでは陽気な親分といった感を受けた。そんなロビンの元には多くの仲間が集まってきていてそれぞれ個性的。加えてホモソーシャルな内輪ノリの雰囲気満載で、非常に楽しそうに見える。彼らは傲慢な権力者をおちょくることを楽しんでいて、後世にわたってもてはやされる理由に触れることができた。2025/04/19
このこねこ@年間500冊の乱読家
6
⭐⭐⭐ ならず者番アーサー王と円卓の騎士みたいな話。それもそのはず、ロビン・フッドもアーサー王同様、各地で口伝えされていたものを、作者がまとめたもののようです。 イギリス人はみんなリチャード獅子心王が好きなんだなぁとあらためて思いました。2021/09/02