出版社内容情報
ヴィリエ・ド・リラダン[リラダン ヴィリエ.ド.]
著・文・その他
高野優[タカノ ユウ]
翻訳
内容説明
魅惑的な美貌と肉体を持ったアリシアを運命に恋人としたエウォルド卿は、やがて彼女のあまりの軽薄さに幻滅してしまう。絶望の淵にあった彼に手をさしのべたのは、エジソンだった。偉大な発明家はついに、アリシアを完璧に模した肉体に高貴な魂をそなえた機械人間を生み出すが…
著者等紹介
ド・リラダン,ヴィリエ[ドリラダン,ヴィリエ] [de l’Isle‐Adam,Villiers]
1838‐1889。フランス西部ブルターニュ地方の侯爵家に生まれる。17歳頃からパリでカフェや劇場に出入りし、20歳で詩集を出版して以後、評論、小説、戯曲を次々と発表する。ボードレールとポーの影響を受け、またフローベール、ヴェルレーヌ、マラルメ、デュマ・フィスなどと交友した
高野優[タカノユウ]
フランス語翻訳家。高野優フランス語翻訳教室主宰。白百合女子大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のっち♬
126
完璧な美を体現しながら打算的で俗物的な恋人の性格に幻滅した伯爵はエジソンから高貴な魂を備えた人造人間を提供される。シンプルな筋だが、現実や理想に対する思索や人造人間の仕組みの説明に重点を置いており、ユニークな発想の中にオカルティズムが顔を覗かせる。「現代の神や希望がもはや科学的なものでしかないのであれば、どうして現代の愛が科学的になってはいけないのだ」—本書は現実に幻想を抱き、理屈よりも感覚に依存する性質を持ちながら、科学で「理想人間製造工場」を築こうとする現代人に愛と欲望の条件を挑発的に問いかけてくる。2021/06/10
かわうそ
40
アンドロイドをどのように実現するかのプレゼンテーションがあまりに冗長に感じられるものの、本書のメインディッシュたる最終章の会話と考察のために必要だったのかなと思わないでもない。でも長い。2018/10/09
みつ
33
800ページ近い作品であるが、驚く程読みやすい。さすがは古典新訳文庫というべきか。登場人物は途中まで発明家エジソン(一応フィクションの世界の住人だと断りあり)とエウォルド卿に限られ、読者はエジソンの夢想、さらにはふたりの会話に延々付き合うことになる。エジソンは発明に、卿は理想の女性に、それぞれ執着する様は、滑稽と悲惨がない混ぜになる。完璧な美貌の持ち主でありながら「頭が悪い」恋人に幻滅する卿に対し、発明家は「肉体をそっくり写し」「魂を・・肉体からひきはがし」たアンドロイドを作ることを約束する。➡️2022/08/24
ころこ
31
我々が考えるアンドロイドは、製作の段階で似せる対象が決まっており、その対象以外にはなり得ないはずです。本作では、似せる対象がアリシアという美女で、似せる前段階のアンドロイドにハダリーという名前が付いています。前段階でアンドロイドのメカニズムを説明したり、なぜアンドロイドをつくるに至ったかといったエジソンとエウォルド卿の会話が延々と続き、いつまでたってもハダリーがアリシアになりません。全6章中、アリシアが登場するのは6章のみで、我々はハダリーに愛着がわいてきて、彼女に人格があると錯覚します。興味深いのは、危2018/09/24
北風
22
イヴやアリスという名前には誰もが夢を見すぎる。機巧のイヴから題名に惹かれて手に取ったけれど、SF、なのか!? 生身の女性を憎しみの対象に、その時代の文化なのか女性蔑視から理想の女性・人造人間を生み出す、とはとてもじゃないがSFとして受け入れられない。内容も女性への愛憎、人造人間の仕組みなど、挙げ句SFどころか心霊現象。SFとして受け入れられない! 最後の結末は、……あれはこの長い内容なだけあって、受け入れられた。2018/11/27
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