内容説明
数カ月続く不漁のために周囲から同情の視線を向けられながら、独りで舟を出し、獲物がかかるのを待つ老サンチャゴ。やがて巨大なカジキが仕掛けに食らいつき、三日にわたる壮絶な闘いが始まる…。決して屈服しない男の力強い姿と哀愁を描く、ヘミングウェイ文学の最高傑作。
著者等紹介
ヘミングウェイ,アーネスト[ヘミングウェイ,アーネスト] [Hemingway,Ernest]
1899‐1961。アメリカの小説家。第一次世界大戦に赤十字の募集に応じて従軍し、大怪我を負う。帰国後は新聞記者として精力的に活動。1924年にパリに移住し、フィッツジェラルド、ドス・パソスなど「ロスト・ジェネレーション」の作家たちと交流。スペイン内戦、第二次世界大戦でも従軍記者としてルポを書く一方、その経験を元に『武器よさらば』『誰がために鐘は鳴る』を書き上げた。戦後はキューバに渡り、1952年に発表した『老人と海』でピュリツァー賞を受賞。1954年にはノーベル文学賞を受賞した
小川高義[オガワタカヨシ]
1956年生まれ。東京工業大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
191
スタンダードの新潮文庫・福田訳に続いて読む。まず一読、読みやすくて非常に印象に残る文章である。「現在」の日本語に、見事に移し替えられているな、と思った。サンチャゴの心の動きにスッと入り込めるし、野球やラジオの話など、初読のときには気がつかなかったが、それが時代を見事に表現していると思った。文学研究的には、1950年9月と特定されているそうである。心の中で、「老人と海」(中山千夏・詞、小室等・曲)をBGMにしながら臨場感たっぷりに読んだが、歌にも移されている通り、老サンチャゴは海と魚たちを愛していたのだ。2015/02/23
nuit@積読消化中
122
再読。幼少期に読んだ時は老人が鮫と闘っているところが印象強く、男臭い物語とばかり思ってましたが、大人になって読み返すと、老人のひとり言一つ一つにハッとする部分があり、またある部分では頷ける自分がいます。最後の「負けてしまえば気楽なものだ。こんな気楽だとは思わなかった。さて、何に負けたのか」のセリフを自然に言えるような悟りの境地に早く達したいものです。また、老人を気にかける少年がとてもとても本当に良かったです!2017/05/20
マエダ
116
2日かけて18フィートにも及ぶカジキとの死闘、”少年は老人にその歳で海にでるのは変わった年寄りだと言った。”老人はこの大物を釣ることによって自分が少年の信じる変わった年寄りだと証明できる。”そんな証明は、もう千度もしただろうが、だからといって意味はない。今一度、その証明をしようとしている。”老人の船で何度も口にする「少年がいたらなぁ」が心にしみる。2016/04/02
優希
97
美しい話だなと思いました。漁師・サンチャゴはひとりで船を出し漁をしている姿に芯のある強さを感じずにはいられません。周りに同乗の目を向けられても自分の闘いに挑んでいる姿が印象に残ります。何事にも屈しない力強い老人の姿に胸を打たれずにはいられません。落ち着いた文章の中に感じる静かな力強さが好きですね。2014/09/23
sin
91
疲れた…短く単純な物語なのに重たく心にへばりついたようだ。前段の案外と饒舌な老人の少年との会話から、海上で繰り返される自問自答、魚との戦いと見えて己との会話に終始する。人間がひとり自然と対面した時、自然は人に対して自省を促すのであろうか?老人の努力は報酬としては実らなかったが、その食残しが奮闘を物語って漁師たちの記憶に残った。◆英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊を読破しよう!http://bookmeter.com/c/3348782015/09/12