内容説明
トム・ソーヤーとの冒険で大金を得た後、学校に通い、まっとうな(でも退屈な)生活を送っていたハック。そこに息子を取り返そうと飲んだくれの父親が現れ、ハックはすべてから逃れようと筏で川に漕ぎ出す。身を隠した島で出会ったのは主人の家を逃げ出した奴隷のジムだった…。
著者等紹介
トウェイン,マーク[トウェイン,マーク] [Twain,Mark]
1835‐1910。アメリカの作家。ミズーリ州フロリダに生まれる。印刷工、ミシシッピ川を運航する蒸気船の水先案内人、新聞記者などの職業を経て、作家となる。1867年、最初の単行本『キャラヴェラス郡の名高き跳び蛙』を刊行。以後、小説、エッセイや評論を多数執筆。ユーモアと痛烈な文明批判を織り交ぜた作風は、後世に多大な影響を与えた。1910年、コネティカット州レディングの自宅で死去。享年74
土屋京子[ツチヤキョウコ]
1956年生まれ。東京大学教養学部卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
69
急にいい子ちゃんになった『トム・ソーヤーの冒険』より、断然、面白い『ハックルベリー・フィンの冒険』。しかも殺人が頻繁に起きて結構、ハードな展開である。大金を持っても逆に大人の守護に守られ、居心地が悪いハック。しかし、ハックのろくでなし親父がハックの大金目当てに帰ってきた!幻覚を見てラリったアル中のDV親父に殺されないために自分が頭を斧で殴られた上、溺れ死んだように偽装工作したり、女装して食べ物を取ってきたり、ハックは逞しい。そして過酷な南部に売り飛ばされると聞いて逃亡した黒人奴隷のジムじいさんも素敵。2015/08/23
セウテス
67
〔再読〕「トム・ソーヤーの冒険」で浮浪少年だったハックは、6000ドルを貰いダグラス未亡人と普通に暮らしていた。ところがアル中のハックの父親が、お金目当てに現れ問題を起こす。命の危険を感じたハックは父親から逃げ出し、黒人奴隷のジムと出会う。同じく冒険というタイトルではあるが、こちらは自由を求める旅であり、アメリカが掲げる個人の自由の大切さを描いている。ただしこの時代、人種差別による奴隷制度は法律上認められているという、アメリカの矛盾を考えずにはいられない。本当はかなり重たい問題を、描いているのだと驚く。 2018/01/06
Mijas
65
子供の頃に読んだ時はあまりに殺伐としていてハラハラした記憶があるが、今回はそうした境遇の中でのハックの逞しさに強く惹かれた。ハックの父親が酷い。アル中で子供に暴力をふるう。ハックを父親から引き離して保護しようとする大人たちもいたのだが、ハックは「自由」を選び、ミシシッピ川を筏で旅する。同じく「自由」を求めて逃亡した黒人奴隷のジム。ミシシッピの悠久の流れは自由の象徴だった。時々岸に上がり「社会」に関わるが、ハックの視点で描かれたアメリカは矛盾だらけの社会。機転を利かせ、ジムを守るハックの優しさも印象的。2015/12/17
おか
61
冒頭に「おいらのことなんか、みんな、知らねえだろうな。『トム・ソーヤーの冒険』って本を読んだんじゃねえかぎりは。」って書いてある。思わず知ってるよ!!!って(//∇//)上巻はハックはまだ旅に出ずに トムと一緒に大金持ちになり 窮屈な生活を強いられる中 飲んだくれの父親に捕まって 自由だけど不自由な生活を送る様になる。昔 もっと簡単な本を読んだ時も トム・ソーヤーの冒険よりハックの冒険の方が好きだった。トムは空想癖があり悪戯小僧なんだけど ハックは生きることにとっても真摯なんです^_^さぁ旅に出る下巻へ!2018/08/27
里愛乍
55
ページをめくり読み始めた瞬間から目に付く「警告」これがなかなかいい。つまりは本書からテーマだとか教訓だとかあとは小説としての云々だとかそういった類の何かを得ようなんてせんでくれってことですよね。こういった姿勢は好感が持てます。ならば読み手もそれに応えて、ただただ読むことを楽しまねば。なんて気合いを入れなくても文字を目で追えばこの面白さは充分に伝わってきます。深読みなんて必要ない。その情景がその言葉がそのまま楽しめる超名作。2015/12/13