出版社内容情報
出会い、別離、再会。愉楽と切なさ。今自らもっとも切実な主題を想像力の限りを尽くして語った官能と夢幻の香り濃き連作短篇十篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
26
女流文学賞受賞作。官能と夢幻のアクアファンタジーと帯にあるが。恋愛もファンタジーもあまり感じない。あまり著者らしさを感じないが、幾つか味わいがある作品が詰まった短編集。2019/07/03
辛口カレーうどん
7
水をモチーフにした短編集。恋愛小説かと思っていたが、幻想小説だった。小舟がたゆたう水面を、薄暗い水底から見上げているイメージ。小舟に乗っているのは誰だろう。過去の恋人?友人?もしかしたら誰も乗っていないのかもしれない。官能的だが、冷ややかな作品だった。2018/04/22
あ げ こ
5
全てのものを受け入れ、そこに漂い続けることを許す優しさ。全てを遮り、全てのものを覆い尽くしてしまう厳しさ。その色合いや形を変え、多くの表情を見せる水は、巡り続ける命の輝きを、情愛が生み落とす悲しみを、濃密な性の交わりを、美しく、また官能的に彩る。平素は触れる瞬間でさえ、気にもとめずにいるような、生々しい身近さを持ったものたちによって、不意に煽られる熱。水が誘う幻想世界への、艶やかな期待。たっぷりと水分をその内に含んだ言葉。語られる情景の穏やかさ、濡れて光る悦びの煌きに心は満たされ、ゆっくりと潤っていく。2014/06/30
ばにらん
1
小説タイトルはすべて2字の漢字でつけられ、それを纏めた本のタイトルが水脈。水で連なる10の短編。目眩が起こりそうな幻想的官能的な描写。いつのまにか夢の中に入っているような展開に撹乱される。大人向けの童話だなあ、これはという話もあり涙腺が緩む。2011/10/16
つっぷー★
0
水をテーマにした幻想的な短編小説集。 序盤の『浮揚』『傷口』などは、幻想的な中にも秘めたる感情のあふれが なまめかしくて秀逸だったけど、後半の作品は、 次第に現実離れした作品が増えてきて、全然ついていけなくなった。 シュルレアリズム小説か、他人の夢の内容を延々と聞かされてる気分。 この一冊を連作と考えたら、プラマイゼロの評価。2013/10/01