内容説明
「語ることができないことについては、沈黙するしかない」「私の言語の限界は、私の世界の限界を意味する」「(倫理「学」と美「学」は、ひとつのものである)」―世紀転換期ウィーンの聖典、20世紀哲学の金字塔。
著者等紹介
ヴィトゲンシュタイン,ルートヴィヒ[ヴィトゲンシュタイン,ルートヴィヒ] [Wittgenstein,Ludwig]
1889‐1951。哲学者。オーストリア=ハンガリー帝国のウィーンで、大富豪の家に生まれる。世紀転換期ウィーンの文化・思想・芸術のなかで育ち、言語批判の精神を身につける。機械に興味があり、リンツの実科学校に入学。数学の基礎に関心をもつようになり、イエナ大学のフレーゲを訪ね、ケンブリッジ大学のラッセルに教えを乞う。第一次世界大戦に志願兵として参戦。前線に配属され、イタリア軍の捕虜となる。前期の主著『論理哲学論考』(1922)によって哲学の問題を最終的に解決したと考え、哲学を捨てて約10年間、オーストリアの村で小学校の先生や、修道院の庭師、姉ストンボロー邸の設計などをしたあと、ふたたび哲学に戻り、ケンブリッジ大学で教えるなどしながら、新しく思索をつづけた
丘沢静也[オカザワシズヤ]
1947年生まれ。ドイツ文学者。首都大学東京名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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なかしー
82
この本は面白い。 本書は哲学を論理的に論考して、7つの命題に集約し、各命題について入れ子(階層)構造に解説を入れている。例えるなら7つの命題≒本の目次で、それらの解説≒各項や節になっている。なので読んでいると、片付いた部屋や整理整頓が行き渡った空間を眺めている様な爽快感がある。著者も「はじめ」に記しているが、本書を理解又は面白いと感じる人は本書の様な考え方をした事がある人と言うのは納得。プログラミングの論理構造が好き(IT系)、数学が好きな人(ザックリ理系)や整理整頓が好きな人はこの人の考え方は好きかも?2021/07/17
藤月はな(灯れ松明の火)
52
この世に存在する事象を記号に直した上でそれが真か偽か、それ以外の内包/外包事象なのかを言語化して突き詰めたヴィトゲンシュタイン。しかし、哲学の知識はほとんどなく、数学での「証明」が一番、苦手だった私としては全く、歯が立たず。最後の7「語ることができない事象に対しては、沈黙するしかない」だけは井上円了氏の「真怪」みたい。2017/04/04
マエダ
51
横書きにされると少し読みづらい。2018/11/05
まさむ♪ね
41
過去に何度も挫折してる本。それなのに、なぜかまた読みたくなってしまう本。・・・はっ!ひょっとするとこれは恋?!あなたのその極限まで鍛え上げられた文章一つ一つが途轍もなく美しいと感じるのです。今回はもうなにがなんでも最後までついていこう(ストーカーか?)と思って、息も絶え絶えなんとか通読しました。むう、やっぱりわからん、わからんけど脳が震えるほど刺激されるのだ。うむ、また読みます。次回はもう少しヴィトゲン先生とお近づきになれるとよいのだけれど・・・。2015/02/07
しゃん
33
新訳になったからといえど、難しいものはやはり難しい。一度読んだだけでは分からないことばかりであった。とはいえ、本書を読み通す中で、ストンと了解できる言葉が見つかるのが心地よかった。たとえば、「4.003 哲学的なことについて書かれてきた命題や問いのほとんどは、まちがっているのではなく、ノンセンスである。」「4.112哲学の目的は、考えを論理的にクリアにすることである。」「5.6私の言語の限界は、私の世界の限界を意味する」など。実際に本書を読み、本書が多大な影響力のある論考である所以が少し分かった気がする。2020/06/15