光文社古典新訳文庫<br> 崩れゆく絆

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光文社古典新訳文庫
崩れゆく絆

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  • サイズ 文庫判/ページ数 361p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784334752828
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

古くからの呪術や慣習が根づく大地で、黙々と畑を耕し、獰猛に戦い、一代で名声と財産を築いた男オコンクウォ。しかし彼の誇りと、村の人々の生活を蝕み始めたのは、凶作でも戦争でもなく、新しい宗教の形で忍び寄る欧州の植民地支配だった。「アフリカ文学の父」の最高傑作。

著者等紹介

アチェベ,チヌア[アチェベ,チヌア] [Achebe,Chinua]
ナイジェリア出身のイボ人作家。1930年、当時まだイギリス植民地であったナイジェリアに生まれ、熱心なキリスト教徒の両親に厳しく教育される一方、日常的には現地の文化や宗教儀礼に慣れ親しんだ。現地の、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ・イバダン(現イバダン大学)で英語やラテン語、歴史などを学び、大学卒業後はナイジェリア放送協会に勤務。1958年『崩れゆく絆』がロンドンで出版されると、アフリカ諸国独立の機運のなか世界中で賞賛される。その後も長編、短編集などを立て続けに発表、「アフリカ文学の父」と称されるようになる。また、ナイジェリア東部州の独立をめぐる内戦(ビアフラ戦争)ではビアフラの大使を務める。1972年に渡米し、多くの大学で教鞭を執る。2013年3月死去

粟飯原文子[アイハラアヤコ]
ロンドン大学東洋アフリカ研究学院博士課程。神奈川大学非常勤講師。アフリカ文学専攻。文学作品のほか、アフリカの音楽や映画の研究も行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

140
ナイジェリアの村、生活、習慣、信仰が、イギリスの入植によってどう変わっていったかを描いている。アフリカ諸国が欧州から次々と独立している頃に発表された作品で、作者のアチェベはアフリカ文学の父と呼ばれる。アフリカの現地の人による文学の黎明期に書かれたものという意味で、評価が高いのだと思う。作品として見た時に、オコンクウォの人物像や性格の形成が、はっきりしないところがあるような印象を受けた。欧州に壊されていく文化か、オコンクウォという人物の一生か、どちらかに特定した方が物語としては読みごたえがあったように思う2016/08/31

はっせー

127
面白かった! 何度かこの本を読もうと思ったが、何度も挫折してしまった。だが、今回は読みきることが出来た。内容はアフリカのイボ族の話である。アフリカの文化や歴史はあまり歴史の授業で触れられてこなかったため新鮮であった。タイトルにあるように昔ながらの村の絆が小説後半に一気に崩れてしまう。それも戦争でもなく飢餓でもなく、文明との接触によってである。この内容を読んで日本における黒船に似ているなと思った。またアフリカ文学を読みたいと思った!2019/06/05

扉のこちら側

110
2017年21冊め。【258/G1000】連綿と続く村の生活が、英国人の入植により変わっていく様子。それは「崩れゆく」のタイトルが象徴する、悲劇的な物だった。前半部分は部族の生活がこれでもかというくらい丁寧に描かれており、解説で指摘されているようにキリスト教伝来以前にも、彼らには彼らの文化的で秩序ある生活が営まれていたことがわかる。キリスト教の慈しみにより救いを見出す存在の一方で、物語の結末は悲劇。続編があるらしいがどうなっていくのだろうか。2017/01/09

はたっぴ

106
訳者のあとがきや解説をひっくるめて学びの多い読書で、冒頭から堅物なオコンクウォの苛烈な人生に引き込まれてしまった。アフリカの文化や慣習を読み解きながら、口伝えの民話を楽しみ、村の一族の〝崩れていく絆〟を不安な気持ちで見届けた。宗教、貿易、教育…表面的には平和な侵略だが、政治を持ち込んでからは明らかな民族支配となる。唯一、先住民との対話を求めた宣教師が、村の有力者と宗教論を語り合う場面が印象深く、村の秩序について理解と共感を深めた直後のあっけない結末(現実)にやり場のない憤りと虚しさを感じた。【G1000】2017/06/10

やいっち

101
ナイジェリア作家のアチェベは、「アフリカ文学の父」とも呼ばれる(誰からか)。中国文学の父というと、魯迅。アメリカ文学の父は、マーク・トウェイン? 日本文学の父というと、漱石か鴎外か。じゃ、四迷や一葉は? 紅葉は? こう書く場合、近代文学ということが前提にあるだろう。日本では古事記や源氏物語や平家物語、方丈記、枕草子、徒然草など日本文学を語るうえで欠かせない世界に誇る作品群がある。[チャールズ・C.マン著の「魔術師と予言者」にて言及。(2022・12・25追記)]2022/01/25

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