内容説明
人間の認識を成り立たせる二つの能力、感性と知性。1巻では感性について考察した。2巻では知性を分析する。認識のために知性はどう働き、知性が用いる純粋な概念であるカテゴリーはどのように導きだされ、根拠づけされるのか。「形而上学の秘密全体を解くかぎ」の解明に取り組む。
目次
第1部 超越論的な原理論(超越論的な論理学;超越論的な分析論)
著者等紹介
カント,イマヌエル[カント,イマヌエル][Kant,Immanuel]
1724‐1804。ドイツ(東プロイセン)の哲学者。近代に最も大きな影響を与えた人物の一人。『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』のいわゆる三批判書を発表し、批判哲学を提唱して、認識論における「コペルニクス的転回」を促した。フィヒテ、シェリング、ヘーゲルとつながるドイツ観念論の土台を築いた
中山元[ナカヤマゲン]
1949年生まれ。哲学者、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
203
本作の第2巻。本書では『超越的な論理学』についての考察。第1巻で『超越的な感性論』を考察し、”直観”(カントが定義するアプリオリな直観のことであり、一般に使用される直観は意味が違う)を定義した。それを受けて”直観”を構成する”概念”(カントが定義する概念)を分析(妥当性を考察)している。先ず分析に当たり、カントの目指す論理学(超越的な論理学)とその他の論理学とを細分化し、次にカントが述べる『純粋知性概念』を取りだそうと試みている。 2021/12/08
壱萬参仟縁
53
想像力とは、対象が現前していなくても(傍点)、直観において対象の像を思い描ける能力(148頁)。早くも解説編に目が行く。。想像力は、直観した像を「総合」するという意味では感性にかかわり、認識にもたらす能動的な働きをする意味では知性にかかわる奇妙な能力(295頁)。今が過去になることと、過去の音と今の音を結びつけるものが創造力(338頁)という絶妙な解説に助けられた。そしてその想像力も、受動的なのと、能動的なのとあるらしい(384頁~)。前者は再生的な想像力。後者は産出的な想像力と言い換えられる。2022/07/27
ころこ
43
感性によって直観された対象を今度は悟性(知性)によって現象から像や観念として認識するその超越論的な根拠づけが、純粋でアプリオリだということを論じています。アリストテレスはそれら対象の認識の概念の分類であるカテゴリーを構想しましたが、様々な命題から抽出されたカテゴリーは経験的であり、カントによるとカテゴリーは純粋でアプリオリでなければなりません。なぜならば、それを経験することができるためには、悟性(知性)の内にアプリオリにカテゴリーのようなものが備わっていなければそもそも不可能とカントは考えたからです。2022/04/17
かわうそ
41
超越論的な感性論によって与えられた多様なものは超越論的な論理学において素材として扱われます。超越論的な論理学はこの素材を用いて純粋知性概念を生み出すわけですが使われる素材が超越論的な感性論によって与えられている以上、それはそもそも時間と空間によって与えられているのであってつまり、超越論的な論理学は時間的な空間的な制約を受けなければならないということは避けようのない事実です。そして、知性に関する全ての直観は自己意識が同一性を維持する、自己統合の意識における必然的な統一の原則に従わなければならないのです。2022/12/31
かわうそ
38
カントの面白さの沼にハマったみたいです。 『純粋理性批判』自体は2週目ですが、1周目で分からなかったところが理解出来た時の喜びが凄まじい。これも読書の醍醐味ではないでしょうか。 今回はゆっくり読むことを意識しているので、分からない箇所があれば何度でも戻って読み返しています。速読もいいですが遅読の方が遥かに面白く感じます。 2巻目ではカントは知性を孤立させ、知性とは自己同一性の意識からなるということをカントは明らかにします。つまりは現象は自己同一性の意識によって1つにまとめられる。これが知性の役割であると。2024/09/18