内容説明
殺人を犯した者の詳細な運命がつづられる最終巻。ラスコーリニコフをはじめ、母、妹、友人、そして娼婦ソーニャなど、あらゆる「主人公たち」が渦巻きながら生き生きと歩き、涙し、愛を語る。ペテルブルグの暑い夏の狂気は、ここに終わりを告げる…。
著者等紹介
ドストエフスキー,フョードル・ミハイロヴィチ[ドストエフスキー,フョードルミハイロヴィチ][Достоевский,Ф.М.]
1821‐1881。ロシア帝政末期の作家。60年の生涯のうちに、『貧しき人々』『死の家の記録』『虐げられた人々』『地下室の手記』『罪と罰』『賭博者』『白痴』『悪霊』『永遠の夫』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』といった巨大な作品群を残した
亀山郁夫[カメヤマイクオ]
1949年生まれ。東京外国語大学長。ドストエフスキー関連の研究のほか、ソ連・スターリン体制下の政治と芸術の関係をめぐる多くの著作がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こーた
204
新潮文庫の工藤精一郎訳を読んだときは、ラスコーリニコフの内懊がもっと前面に出ているように思われたが、この亀山郁夫訳は、より多声的で群像劇に近く、ペテルブルクという街そのものを描いているような印象を持った。マルメラードフにルージンにズヴィドリガイロフ、ドゥーニャとソーニャ、ラズミーヒン、カテリーナ、ポルフィーリー、いずれも印象深い。五大長篇の残りも読みたいが、一二度読んだくらいじゃまだまだ読み足りず、工藤訳もこの亀山訳もまた読み返したいし、岩波文庫の江川卓訳も、角川文庫の米川正夫訳も読んでみたい。2023/08/26
ハイク
132
訳者の読書ガイドでは7月7日から20日までの僅か14日間の出来事である。主人公ラスコーリニコフの犯した罪は、止むを得ぬ事情であると正当化していたが、時間の経過とソーニャに出会ったことで自首するに至った。その状況及び心理変化を克明に描写した。ソーニャとの出会いが大きな影響を与えた。ソーニャは主人公がシベリヤの流刑地にも一緒に行って励ました。ついに主人公はソーニヤの愛を認識した。くどい部分もあるが読み応えのある本であった。かなりの長編で時間を取り一気に読む本である。そうでないと単調な会話等で挫折する。2016/08/29
ミッフー
107
完読❗️いや〜正直長くて疲れた😅時代背景なのかお国柄なのか、ラスコーリニコフだけに留まらず、多くの人が悩み過ぎでか狂ってしまう😱特にカテリーナの狂い方はグロなホラー映画を観てるよう💦歴史や宗教に疎い僕には、この本を通じドストエフスキーが何を伝えたかったのかイマイチ理解出来なかった😫逮捕されシベリア送りとなったラス君、意外だったのは外部と結構接触出来る事❗️ソーニャ頻繁に訪れ手や体触れ合ってるやん😘ならグダグダ考えずさっさと自首したら良かったのに🤔嗚呼、僕もソーニャのような献身的な愛が欲しい💞2019/04/14
やきいも
107
下手な比喩だけど、読み終わって『暗く長いトンネルをようやく通過して、抜けるような青空の下に一気にでた!』気持ちになった。殺人を犯し悩む主人公にたいして、ヒロインのソーニャが全力でぶつかるのがとても新鮮に感じた。どこかさめて生きている現代の世界の私達が、ここまで他者にたいして親身になる事があるだろうか...。ドストエフスキーが大きな影響を受けたキリスト教の根本思想がこの物語に大きな奥行きとひろがりを与えた。ラスコーリニコフとソーニャの2人の将来がとても気になる。2015/10/31
ペグ
94
「罪と罰」という小説は一大シンフォニーだと思う。登場人物は相変わらず多弁。思いを一気にまくし立て長々と喋りまくる。当然一人一人の人生が存在する為、多面的な話になるので大変疲れた。漸くエピローグでこの物語が終結することに。ここに至るまでのラスコーリニコフの熱感、攪拌、孤独、憂鬱、喪失感、憎悪などがこのエピローグにより浄化され言葉にならない程に美しい。少しばかり大袈裟だけど、このエピローグを読むためにわたしは長い長い道を歩んできたのだな〜と感嘆の声を漏らした。2019/08/09