内容説明
並はずれた守銭奴で知られるスクルージは、クリスマス・イヴにかつての盟友で亡きマーリーの亡霊と対面する。マーリーの予言通りに3人の精霊に導かれて、自らの辛い過去と対面し、クリスマスを祝う、貧しく心清らかな人々の姿を見せられる。そして最後に自分の未来を知ることに。
著者等紹介
ディケンズ,チャールズ[ディケンズ,チャールズ][Dickens,Charles]
1812‐1870。イギリスの作家。親が借金を抱え、ロンドンのスラム街で少年時代を過ごす。法律事務所の使い走り、速記者などをしながら大英博物館に通って勉強し、新聞記者になる。ジャーナリストの目で社会を凝視した作品は大衆に歓迎された
池央耿[イケヒロアキ]
1940年生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ykmmr (^_^)
142
クリスマスということで拝読。守銭奴であまり良い所がない精霊スクルージにクリスマスプレゼントが来る。民衆たちの普通のクリスマスを見ながら、自分はクリスマス精霊に浄化され、誰かの為に尽くせる博愛心を持ち、心の豊かさを取り戻していく。死別した友人からのご利益に人生を変えられ、新たな精霊人生を送るという事は、クリスマス→新しい年の幕開けの流れに乗っていて、スッキリもする。この時期に読めたのは良かった。自分の気持ちも浄化され、クリスマス→年明けがますます楽しみになった。何だか、ほっこり。可愛さもある小説。2021/12/10
アキ
117
今年の読み納めにディケンズの名作を選びました。スクルージは、ヴィクトリア時代にディケンズが生み出した現代でも有名なキャラクター。これでもかと言うくらい嫌われもののキャラ設定に、精霊によってクリスマスの精神を体現する好人物になります。その当時のロンドンと現代の社会とは共通する世知辛さがあるのかもしれません。7年前に亡くなったマーリーの亡霊が、スクルージの心持ちを変えるきっかけになった。自分の墓石を見ることは、年に1回位は空想してもいいのかもしれません。来年も年の瀬に読んでみようかしら。今年もよき1年でした。2021/12/31
naoっぴ
79
クリスマスの贈り物のような素敵な物語。強欲なスクルージのもとに三人の精霊が現れ、自分の過去、現在、未来を見に行くことになる。自分のことしか見えなかった彼が、視点を変えて周囲の人々を見つめた時、見えなかったものが見えてくる。スクルージにしても、子どもの頃の経験から今のようになったというだけでもとから悪い人間というわけではないのだ。物事を見つめる私の目も凝り固まってはいないだろうか、とそっと振り返ってみる。クリスマスを祝福する様子にとても幸せな気持ちになった。もうすぐクリスマス。私はどう過ごそうかな。2020/12/21
マエダ
77
新聞雑誌の論説や教会の説教で弱者に対する思いやりを訴えることが一種の流行になっていた時代。ディケンズのクリスマスキャロルを書いたのはこの時代である。闇があって光がある負の記憶を含めて祝祭は喜びを増すクリスマス哲学2018/08/10
sin
75
キリスト教版説法と云ったところだろうか、坊主が衆生に人生の徳を解りやすく語り聞かせるように、当時の民衆に向けてクリスマスに寄せて人の生きざまを物語に託して語りかけている。人は心持ちに依って救われると云うことか!?それにしても先触れをなした元の相棒の亡霊のなんとも救いがなく哀れなことか、死ぬまでに神の赦しを請わなかった罰か?気づかされたスクルージは何よりも先ず相棒マーリーの成仏…いや昇天をこそ願うべきではあるまいか?2021/12/25