内容説明
五年前に使われたきりであちこち古びてしまったピンクのウサギの着ぐるみ。大学生の「わたし」がアルバイトでそれをかぶって中から外を覗くと、周囲の人はぬいぐるみやロボットに変わり―(「チヨ子」)。表題作を含め、超常現象を題材にした珠玉のホラー&ファンタジー五編を収録。個人短編集に未収録の傑作ばかりを選りすぐり、いきなり文庫化した贅沢な一冊。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960年東京都生まれ。’87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。’93年『火車』で山本周五郎賞。’97年『蒲生邸事件』で日本SF大賞。’99年『理由』で直木賞。2001年『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞、’02年司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞。’07年『名もなき毒』で吉川英治文学賞。’08年英訳版『BRAVE STORY』でThe Batchelder Award受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
733
5つの作品からなる短篇集。この人の短篇は初めて。したがって、他との比較はできないのだが、どうも今一つインパクトに欠けるように思われる。5篇のいずれもが、いわゆる怪異譚なのだが(都市伝説といった趣きも。とりわけ最後の2篇は)、霊魂(幽霊)あるいは、神なるものが直接に登場してしまうがゆえに逆に神秘性を損なうのではないだろうか。最も怖いのは、怪異がまさに現れそうだという時なのであり、想像力のもたらす震えにほかならない。出現してしまっては、怖さは半減してしまうのである。恐怖像は説得し、説明するべきではないのだ。2019/03/29
射手座の天使あきちゃん
418
安い!(ワンコイン) 早い!(いきなり文庫化) 美味い!!(流石、短編の宮部さん♪) チヨ子もハートフルだけど、着ぐるみの宮部さんもキュート(笑) それにしても「聖痕」は、かなり難解・・・ てか、おいおいそこ行くか!? ちょっと危ない感じでした <(^_^;2011/08/27
yoshida
363
私は宮部みゆきさんの作品が好きだ。なぜか。人の持つ業や悪意等の感情を描くのが実に丹念で、質感をもって感じられる。そして、どんなに暗く重たい話しでも、微かに一条の光りがある。そこに人間の善意と可能性を感じ、暖かな読後感を得られるのだ。本作は短編5編。私の好みでは断然「チヨ子」になる。幼い頃の自分が大切にしたモノ、そしてそれに纏わる出来事への郷愁が呼び起こされる。反面、「聖痕」は苦手な印象を受けた。暗く、救いのない幻想小説と言える。宮部みゆきさんの引き出しの多さを感じた作品集。これからも追い続ける作家さんだ。2017/11/07
ひさか
356
ホラー&ファンタジー5編。宮部さんのこういう文庫本(いきなり文庫発売)があるの知らなかったので、楽しみに読みました。小説タイトルになっているチヨ子が面白かったですが、他4編は面白くなかったです。残念。2013/02/17
ヒロ@いつも心に太陽を!
336
久々に読んだ宮部作品、期待しすぎたせいかどの話も私にはイマイチ。それはただ私の好みの問題であり、「語り手が実は・・・」というパターンも先がなんとなく読めていたものの最後まで読ませちゃう文章というのはさすが宮部さんだと思った。「着ぐるみ着て朗読がしたかったから『チヨ子』を書いた」という宮部さんは面白い方だなぁ(-∀-*)そして『聖痕』は、ちょっとズシンときた。でもきっと再読はしない気がする・・・。どなたか宮部作品のオススメをぜひ教えてくださいー!!!2012/04/25