内容説明
高校でアウトロー的存在のカズキは、スケボーに熱中して毎日を送る。今日も伝説のスケートボーダーのトモロウのところへ相談に行く彼の心に影を落としているのは、同級生が学校の屋上から落ちて死んだことだった。そして、目の前で事件は起きた。自分って何なんだよ、なんで生きてるんだよ―青春の悩みを赤裸々に描いた快作。
著者等紹介
藤沢周[フジサワシュウ]
1959年新潟県生まれ。法政大学文学部卒。’93年「ゾーンを左に曲がれ」(「死亡遊戯」と改題)でデビュー。’98年「ブエノスアイレス午前零時」で第119回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
73
「オレンジ・アンド・タール」は、自分って何?という青春小説の定番テーマ扱った作品です。ホームレスの伝説のスケートボーダーが、悩める高校生たちのメンターとなって問題解決という美しさ。なんとなくの落ち着いちゃった感がとても気持ち悪い。全然リアルじゃありません。しかながら、同時収録の「シルバー・ビーンズ」は、ホームレスの視点から「オレンジ・アンド・タール」をなぞっていきながら、そんな不満をふっ飛ばしてくれます。二作品は関係は箱庭の中にある箱庭のよう。綺麗ごとだけで終わっていないところを評価したいと思います。2016/10/09
masa
62
明日には世界に戻ってこれると信じて現実から飛び降りたキョウ。もう二度と今日には戻れないと知っていて現実からドロップアウトしたトモロウ。これはつまり今日(キョウ)と明日(トモロウ)の物語。現実とシンクロしようとしても無理で、ならばスポイルされまいと逸脱するためにもがいても無駄だ。うまく流されることすらできず現在進行形の世界ではクロノスタシスしてしまう。焦りと諦めの思考が渋滞。ずっと何者にもなれない。血とヤニの染みついたアスファルトをプッシュしてチクタク。どこにも逃げ道がないからオーリーするしかなかったのさ。2021/07/17
100
57
なんか趣きの変わった本作を読み始めて、若者の描写のリアリティーの無さに驚きつつ、ちょっとがっかりしながら読み進める。と、突如のカウンター、を堪能してるとあれ?終わり?2篇なのかってさらに行くとそうくるかって感じもありつつ、藤沢周節発動でK点超え。2024/02/25
TAKA
43
若林が推薦するだけ確かに面白かった。実際目の前でダチが自殺したら病むよなあ。少年の表現が上手い。おどおどしたところとか目に精気がないあたりとか、キワキワの顔ってやつ。そりゃ心の回線がズレてしまうでしょう。「自分にまで背中向けたら、自分で自分、殺すようなもんだよぅ」都会の高校生って話で田舎の高校生ではこんな話にはならない。トモロウの生き方は共感ができない。2018/11/24
MATHILDA&LEON
37
作家の羽田圭介さん、芸人の若林正恭さんが大好きだという本作を読了。物凄い衝撃だった。大人になっても燻り続けているものが私の中にあるからか、余計にガツンと来た。具体的に感想を書きたいのに、正直どう表現したら良いか分からないでいる。強烈なパンチをお見舞いされてちょっと泣きそうな気分で、でもそれがそんなに嫌な気分ではなくて。もっと前にこの本と出会っていたら、もしかしたら価値観が変わっていたかもしれない。そう感じた作品だった。2016/06/06
-
- 電子書籍
- 欺す衆生(新潮文庫) 新潮文庫
-
- 電子書籍
- 装甲騎兵ボトムズ外伝 青の騎士ベルゼル…
-
- 電子書籍
- 買わない暮らし。(大和出版) - 片づ…
-
- 電子書籍
- 潮風のいざない【分冊】 11巻 ハーレ…
-
- 電子書籍
- 学級王ヤマザキ(11) てんとう虫コミ…




