内容説明
学校の先生とのエッチ。十六歳のときに経験した「特別な関係」にこころを束縛され続ける香苗(「とけない魔法をかけてくれ」)。幼なじみの芳野への想い。そんな自分の気持ちから二十年近く逃げ続けてきた龍太郎(「芳野がくる」)。愛に報われない女子と、恋に不器用な男子たち。さまざまな情景での、言葉にできないもどかしさ、伝わらない切なさを描き出した八編の恋物語。
著者等紹介
吉川トリコ[ヨシカワトリコ]
1977年生まれ。2004年「ねむりひめ」で第3回「女による女のためのR‐18文学賞」の大賞・読者賞をダブル受賞。受賞作を含む短編集『しゃぼん』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やこ´•ᴥ•`
53
8つの物語からなる短編集。トリコさん、ほんとツボる!8つともどれも印象的で面白かった!青春時代のイタさとか、トリコさん旨いなぁ。読メでももっと登録あっても良いのに~と思う短編集でした。サラっとしつつ、結構痛いところツイたりしてます(笑)。特にお気に入りは「タイムテーブル」かな♬*゜2016/07/04
まつこ
34
“C級”の意味が分かった。例えば『チェルシーとドライブ』で「美しく生きたい」ってセリフ。共感しちゃうんだけど、そんなんできないよって思うことを口に出す主人公。他にも自分自身の成長していないところや性格の嫌な部分とか突かれたり、曝け出されたようで読んでいてチクリとくる。でも『君のためにぼくがつくった愛のうた』や『運命の青』は愛がいき過ぎていて自意識過剰で笑っちゃう。また『芳野がくる』は龍太郎が何だかんだ迷いながら芳野のこと想っているのが微笑ましい。 感動が前面に出た恋愛小説ではないけど、その分現実に近い。2013/09/26
巨峰
34
読んでよかったと思える短編小説集でした。各小説の内容はかなりバラエティに富んでるんだけど、ちゃんと書かれていて、そして共通点がある。登場人物たちは、どことなく暖かくて、明るくて、そしてなんだか前向き。C級というタイトルはうまいですね。敷居は低い感じがするけれど、中身はけしてC級でも、B級でもなくて、いい感じでした。2011/01/11
なつ
21
登場人物たちは、どこか何か足りない。イタイ人に分類されるかも知れない。でも気持ちは純粋で真っ直ぐに思えた。「言えない感情(気持ち)」は、やっぱり切ない。どの話も、チクリと胸を刺すような痛みと切なさがあって、ふといくつかの過去を思い出したり。サクッと読めました。青春も恋も捨てたもんじゃない。2015/11/16
ピロ麻呂
18
吉川トリコさんはアンソロジーで見つけた作家さん(^^)ラブストーリーばかりかと思ってたけど、C級の人生に悩む主人公を描いたものが多く、共感できたヽ(^o^)丿 もっと美形に生まれてたら、もっとステキな恋ができて楽しい人生になったろうに…誰もが思うこと。もっと賢く、もっとスポーツができていたら…そんなの言い出したらきりがないよね~(>_<)2015/07/02