内容説明
沖縄・那覇空港で、乗客240名を乗せた旅客機がハイジャックされた。犯行グループ3人の要求は、那覇警察署に留置されている彼らの「師匠」を空港まで「連れてくること」。ところが、機内のトイレで乗客の一人が死体となって発見され、事態は一変―。極限の閉鎖状況で、スリリングな犯人探しが始まる。各種ランキングで上位を占めた超話題作が、ついに文庫化。
著者等紹介
石持浅海[イシモチアサミ]
1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒業。2002年、カッパ・ノベルスの新人発掘プロジェクト「Kappa‐One」に抜擢され、『アイルランドの薔薇』でデビュー。新人離れしたスケールの大きな舞台設定と緻密な論理展開で、一躍注目を浴びる。’05年に発表した『扉は閉ざされたまま』は、「2006年版 このミステリーがすごい!」で2位に選定された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
239
ある目的の為に皆既月食の夜にハイジャックを決行する3人の仲間。その機内トイレで何故か発生する殺人事件。斬新な設定で興味をひかれたのだが。試みは評価するが不発。ハイジャック犯の要求は指定の時間に「ある人物」を空港に連れて来る事。でなければ1人ずつ人質を殺す…緊迫した状況の中でハイジャック犯達がトイレ内殺人をあーだこーだと、のんびり推理しているのが何とも場にそぐわない。最後まで読んで一応全ての事情に納得は出来たものの、帯に記された「美しいミステリー」は違うな。書くなら「禍々しいミステリー」だろう。 2024/06/20
三代目 びあだいまおう
237
「かつてこんなに美しいミステリーが、、」という帯につられ購入。生きることが辛く心に傷を抱えた少年少女達は僅か数日の沖縄キャンプで周りが驚く元気を得て帰ってくる!その理由は主宰である『師匠』。素晴らしい試みを何十年もほぼ無償で続け多くの命を救ってきた師匠が突然逮捕?師匠を救わんとキャンプ関係者がハイジャックを起こす。しかし機内で犯人が意図しない形で人が1人死んだ!どゆこと?って話。帯で詠われた「美しさ」には最後の最後でたどり着いた。文体、展開は平坦だが、タイトルの意味は信じる者にとって深いものだろう‼️🙇2019/01/06
ダイ@2019.11.2~一時休止
204
座間味くんその1。ハイジャック中に発見された死体の謎。動機と方法探しがメインな感じ。主人公の名前がわからないままそれがシリーズ名?になってるという謎・・・。2015/11/05
ひかちゅう
155
ハイジャックした機内で起こる密室殺人事件。ハイジャックと密室殺人を一緒に展開する序盤はさすがでどんどん引き込まれる。事件を推理するのはたまたま機内に居合わせただけの一般市民の「座間味くん」。的確に次々と展開する推理は鋭すぎだろ~。名探偵すぎる。それに引き換え、ちょっとどんくさい聡美ちゃんの「あ・・・」がじれったい。中盤の中だるみが残念だし、「座間味くん」といい、ハイジャックしている機内での長々と繰り広げられる立ち話といい非現実的でかなり違和感を感じつつ、意外なラストはよかったです。タイトルに納得。2018/05/03
🐾Yoko Omoto🐾
149
特異な設定や思想をベースにしながらも、「犯人達が持つ倫理観」に基づいた矛盾のない思考と実にロジカルな謎解きに石持氏らしさが滲み出る。「ロマン」と「悲劇」という二つのテーマが終盤に見事に融合されており、終章の不意打ちに何とも言えない感動が押し寄せた。一般人である「座間味くん」の目線がそのまま読者の目線にリンクすることで、常識では到底理解できないであろう犯人たちの考えや思いが無理なく理解できていくという構成が見事。それによって「対犯人」という対決の構図が「対理解者」にシフトされ、ラストに真実味を持たせている。2014/09/15