出版社内容情報
何の因果か、私は人並以上に、泥棒や人殺しの話が好きなのであります―。犯罪的才能への憧憬、探偵趣味、恋について、性欲について、同性愛について、そして創作について、探偵小説の巨人が、自己とその身辺を率直に語った好エッセイ集。
目次
悪人志願(悪人志願;私の探偵趣味;乱歩打開け話; ほか)
探偵小説十年
幻影の城主(彼;幻影の城主;群衆の中のロビンソン ほか)
乱歩断章(処女作「二銭銅貨」のあとに;探偵趣味の会を始める言葉;國枝氏に ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
191
人生を夢幻と思わせる随筆集。ただし「ラムール」と自伝「彼」の二篇は小説といえる。冒頭で日夜犯罪を空想する自分をとんでもない人間だという。清少納言ならそんな違和感とは無縁だろう。乱歩はやはり紫式部…物語作家なのだ。十五才のころ稚児役として男たちから追いかけ回され美少年と相思相愛になったという体験から始まり、深夜浅草の「野外かげま」など病的なうらぶれた心象風景、人殺しや犯罪・恐怖の話を好んで採りあげる。同性愛文学の蘊蓄もちらほら。大衆文芸を擁護しながら探偵小説の大衆化を嘆く辺り、乱歩という人の複雑さも窺える。2024/02/10
KAZOO
32
乱歩の随筆ですが、やはり様々な観点から自分の身の周りや作品についてのことを取り上げています。結構、好奇心が旺盛な感じがします。またこのような随筆がのちの幻影城や探偵小説40年につながっていったのでしょう。2014/12/11
Gen Kato
3
再読。乱歩の随筆には小説以上に「大正文学」の香りがある気がします。ことに宇野浩二の味。2014/01/06
まんたろう
2
全集の24巻は随筆集。 乱歩のキーワードとして変身願望、隠れ蓑願望、厭人病などが挙げられるけど、エッセイにも真面目さと、飽き性というか見切り発車というか計画を立てずに走りだす様子がが同時に出ていて面白い。徹底して自分を語り尽くす様が凄まじい。2019/03/18
めっちー
2
同性愛に関する随筆が興味深い。2010/07/08