内容説明
交通標識で見慣れたあの男の秘められた、そして恐ろしい私生活とは?(「帽子の男」)。東京の荻窪にラーメンを食べに出かけた哲人プラトンを待っていた悲劇(「箴言」)。本の世界に迷い込み、生け贄となったあなたを襲う恐怖(「カヴス・カヴス」)。奇想天外、空前絶後の企みに満ちた作品の数々。読む者を目も眩む異世界へと引きずり込む、魔術的傑作27編。
著者等紹介
浅暮三文[アサグレミツフミ]
1959年兵庫県生まれ。関西大学経済学部卒業。’98年『ダブ(エ)ストン街道』で第8回メフィスト賞を受賞しデビュー。2003年『石の中の蜘蛛』(集英社)で第56回日本推理作家協会賞を受賞
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感想・レビュー
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雪紫
52
ところ天の助「ガタッ」。交通道路の標識をつ・な・げ・て・み・た・り、本の世界に迷い込んだ読者を襲う仕掛けや、UFO紹介をエサにした勧誘、パリまで旅するかたつむりなど、作者の無限大イマジネーションやチャレンジ精神が炸裂で椅子に座ったままぐるぐる誘われる感覚を味わう。記号が誘う世界やゲームブックな仕掛けもたくさんなのでこりゃ電子書籍別の意味で無理そう。解説にも初っ端から「浅暮三文はヘンテコな作家です」とか書かれてて、否定出来ない。スタイルを持たない凄く不思議なお話達。「ぬ」「ぬ」「ぬ」。2023/08/07
へくとぱすかる
47
「帽子の男」から、すでに爆笑。物語の元があれですからねぇ。視覚的効果を利用した話は確かに実験的でしょうが、そういう、小説になりそうにない世界を小説のネタにする点が、普通じゃないんだなぁ。「遠い」「參」がそういうおもしろさに満ちた作品。「箴言」は、哲学者のプラトンが下落合に遊びに行く、という設定からして、もう笑うしかないでしょ! 楽しい本でした。2016/01/06
まさ
33
小説の可能性を幾パターンも試した1冊。こういう読み方、読ませ方があってもいいのじゃない?いきなり「帽子の男」で笑ってしまった。通勤や仕事中に交通標識を見つけてはニヤニヤしてしまう。2020/01/23
hope
31
★★★ 初読みの作家さん。実験的。絵や記号をからめたり、小説の表現に奇抜なアイデアと遊び心を盛り込んだ短編集。 個人的には後半の掌編が、筒井康隆に通ずるブラックなオチや、世にも奇妙な物語のようなシュールさで、なかなか楽しめました。 2016/03/12
ちょん
26
実験小説の言葉の意味、よーく分かった(笑)モダンアートみたいな本(笑)「読書ってこういう形もあっていいんじゃない?」という浅暮さんの発想はすばらしい✨✨ 昔読んでた児童書もこんな感じで読者と一緒に次のストーリーへ向かう感じだったなぁと。2022/06/11