内容説明
敏腕広告プランナー・佐久間は、クライアントの重役・葛城にプロジェクトを潰された。葛城邸に出向いた彼は、家出してきた葛城の娘と出会う。“ゲームの達人”を自称する葛城に、二人はプライドをかけた勝負を挑む。娘を人質にした狂言誘拐。携帯電話、インターネットを駆使し、身代金三億円の奪取を狙う。犯人側の視点のみで描く、鮮烈なノンストップ・ミステリー。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
382
シチュエーションの妙とそれを実現させるためのキャスティングの冴え。狂言誘拐を成立させるためにヘッドハンティングされた凄腕のプランナーを犯人としたところに東野氏の着想の素晴らしさがある。また狂言誘拐が成功裏に終わった後からがまたすごい。255ページ以降は予想不可能な展開で鼻づらを抓まれてグルングルンと引っ張りまわされているような感覚だった。しかし最初のわずか4ページで主人公の人物像を読者の心に自然と理解させる作者の上手さには全く舌を巻く。読みやすさゆえに見過ごしがちだが、この技術の高さは本当にすごい。2013/05/19
absinthe
283
面白かった。高度な頭脳戦というわけには行かず、あちこち穴のある展開だったけど、それでも受け渡しの前後はハラハラドキドキ。知らなかったが、映画化もされたという。最後の逆転がやっぱりすごい。ミステリのだいご味ちゃぶ台返し。読ませた方がいい作品と映像で見せたほうがいい作品があるが、この作品は映像のほうがいい。それを意識して作ったような作品。後味すっきりといいたいが、終わり方はどうだろう?パズルのピースははまったが、公序良俗から考えて不快に思う人がいるかも。…された、○○ちゃんが不憫だ。2020/07/31
ノンケ女医長
218
田園調布にある、監視カメラが複数ついた巨大な洋風屋敷。遠方からお手伝いさんも通わせるような富豪で育つことの苦労を、感じ取る。登場人物は少なく、事件そのものも一見、シンプル。展開も想像しながら読み進めることができた。事件の被害者と加害者の関係性が、作品の終焉で変化し、一気に緊張する。2億7千万円を手に入れる誘拐ゲーム。買っても負けても、きっと「樹理」が幸せになることは、かなり難しかったのかもしれない。2023/02/18
nanasi
192
カバーデザインは泉沢 光雄さんと水口 理惠子さんです。巻末に藤木 直人さんが「佐久間役を演じたことと東野圭吾さんのこと」が収録されています。良い人が出てこない物語。2013/11/06
どんちん
189
時生の拓実とは別の意味で女性がむかつく男として考えたのが、この佐久間とのこと。が、全くそんな気がしなかったのは、私が男性だからか。最も、ビジネスマンがあこがるような設定ともあるので、少なくとも、この本においては、見事、東野マジックにのってしまったようだ。その展開はスリリングで多くの伏線は東野ワールドであった。が、気のせいだろうか、サラリとラストまできてしまった。最後の最後の展開は、確かに読めなかったが、それでも、うーーんあっさりかなぁ(笑)2012/11/01