出版社内容情報
波乱に富む物語、意外で壮絶な結末。名探偵明智小五郎が生涯で最大の強敵に相対する表題作「魔術師」。骸骨怪人による恐るべき事件の捜査に明智が乗り出し、小林少年が初登場する「吸血鬼」。明智小五郎の恋と冒険を存分に堪能できる傑作長編二編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
karatte
29
明智どうした? この一言に尽きる。〈遂に彼の生涯での最大強敵に相対した〉という大袈裟な前口上の割に、美女との逢瀬に心浮かれ、「オイオイ、しっかりしろ」と己を叱責するのはまだいいとして、あっさり賊の手に落ちるわ、渾身の死んだふり作戦も空振りに終わるわ、その間もガンガン犠牲者出るわで終盤近くまでまるでいいとこなし。冒険活劇としては楽しく読めるが、意外な犯人に拘るあまり、推理に関してはフーダニット全振りの大味なものに。共犯者の推理だけはいつもの名探偵節を堪能できたけど。2022/11/06
KAZOO
17
いわゆる探偵ものの本格的な始まりを感じさせる二つの長編です。明智小五郎が活躍をしまじめます。長編といってもすらすら読めてしまうので、あまり長さを感じさせません。よくまあおどろおどろしいものからこのような軽めのものまで書かれたと思います。2014/04/23
歩月るな
16
『魔術師』と『吸血鬼』が収録。それにしても大変な本だった。最後まで読まされただけでまあ敗北ですよね、と言ったところ。解題や注釈にも楽しまされる重厚感。このあとの『黄金仮面』の方が先に始まっているけれど、明智さんの恋愛物語前後編で纏まっているので順番的にはこうなる模様。本人にも「支離滅裂の困りもの」と言っているくらいなので愛着がないでもないのだろうけれど、明智の結婚と新婚の浮かれ気分で事件に首を突っ込むことは無いだろうという一文が、しばしの別れとして演出されている所もないではないんだろうけれど。まだ六巻か。2019/01/13
そら
15
魔術師と吸血鬼の長編2作が収録されています(∩´∀`∩)。明智小五郎さんの探偵ものですね。まさに2冊分って感じで、読みごたえがすごかったです。2022/05/26
不見木 叫
12
明智小五郎の妻である文代の登場する長編2本の第7巻。推理よりはサスペンスと知略戦に重きを置いていてやや大味。『吸血鬼』の犯人を限定してゆくロジックは秀逸。2023/01/21