出版社内容情報
横浜のアパートに住む鈴原咲玖良と娘の女子高生・優璃が、同じアパートの住人・緑川に襲われ、母親は死亡、娘も負傷した。すぐ逮捕された緑川は死刑になりたかった、と動機を供述。ニュースサイト記者・千弦は、犯人の供述に疑問を抱き、優璃と共に事件を取材する。不審な行動をとる緑川の弁護人や思惑を秘めた関係者の証言に振り廻される千弦たち。犠牲者が犠牲者を生んでゆく! SNSの闇を抉る傑作長編ミステリー。
【目次】
内容説明
横浜のアパートに住む鈴原咲玖良と娘の優璃が、同じアパートの緑川に襲われ、母親は死亡、娘も負傷した。逮捕後、緑川は死刑になりたかった、と動機を共述。ニュースサイト記者・守矢千弦は疑問を抱き、優璃と共に事件を取材するが、思惑を秘めた関係者たちの不審な行動や証言に謎は深まる―。SNSの闇を抉る傑作長編ミステリー。
著者等紹介
天祢涼[アマネリョウ]
1978年生まれ。「キョウカンカク」で第43回メフィスト賞を受賞し、2010年にデビュー。’13年『葬式組曲』が第13回本格ミステリ大賞の候補に。’23年『謎解き広報課』が第18回酒飲み書店員大賞を受賞。’24年「一七歳の目撃」が第77回日本推理作家協会賞(短編部門)候補に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
159
情報があふれる現代において、情報を利用する前提の犯罪が発生してもおかしくない。「人を殺して死刑になりたかった」男が起こした母子殺傷事件を取材するニュースサイト記者が、単純に思われた犯行の裏にひそむ悪意と狂気に少しずつ迫っていくプロセスはページを繰るのも惜しい迫力だ。何より真犯人に利用され殺人に及んでしまう実行者と、フェイクニュースに踊らされ記者を害そうとする青年の肖像は、自分の頭で考えるのを放棄した日本人の精神的劣化を強烈に描き出す。動機の面で疑問は残るが、ネット時代に生きることの難しさを考えさせられる。2025/10/19
いつでも母さん
131
楽しみな天祢さんの新作は社会派ミステリー。調べ物がある時、ネットは確かにちょっと便利だよね。これはSNSに踊らされる私達に警鐘を鳴らす作品だった。顔が見えないから何を言ってもいいことにはならないはず。何を信じるか・・誘導されてはいないか?不安な思いがグラグラと私を揺さぶる。危ない危ない、いつの間にか扇動されて炎上の自覚もない・・なんてことになってはいないか?それすらも誰かの所為?物語の真相よりもネットの闇の恐ろしさで、めまいがしそうだ。その泥濘からはい出すには見ないことが一番良いのかな?誰か教えて。2025/09/09
ごみごみ
57
「誰でもいいから殺して死刑になりたい」という殺人犯の供述を鵜呑みに出来ないニュースサイトの記者・千弦が、母親を殺された娘・優璃とともに事件の真相に迫る!心ない誹謗中傷やフェイク動画に翻弄され、個性的過ぎる登場人物たちの言動に悩まされ、たどり着いた先に明らかになったものとは?主人公も先輩女子も弁護士も、みんな頭が良すぎて、想像の斜め上を行く真相には驚いた。動機がちょっと弱くて納得いかないけど(笑) 人は自分に都合のいい情報だけを信じ、偏った見方をしてしまう・・そこは納得!2025/09/30
のりすけ
47
ネット社会の闇と人の心のあやふやさを描いた作品。登場人物全員がうさん臭くて表面的な所しか見せてないような気がしてしまった。テーマはとても良いのに人間描写で失敗しちゃった感。ヒロイン二人に共感できなかったし、動機にいたってはなんで?となってしまう。ただ、ネットの怖さはヒシヒシと伝わって来た。2025/11/03
オーウェン
47
緑川英雄がアパートの隣人である母娘を襲撃し母親は死亡。 英雄は死刑になりたかったからと動機を答えたが、ニュースサイトの記者の千弦は状況に疑問を抱き、関係者への取材を申し込む。 その過程で被害者であり生き残った優璃と共に取材に。 フェイクニュースやSNSの嫌がらせが生む連鎖。 証言がコロコロ変わる中で誰を信じていいのか。 男を信じないという千弦の信条。 それが最後に意外な犯人の正体を明かす。 この犯人は読めなかった。2025/10/23




