出版社内容情報
労働を禁止する。生活は保障する。誰も、取りこぼさないために。
HIPS。それは、経済が停滞した日本に生まれた、前代未聞の扶助団体。すべての会員を監視下に置き、経済活動と財産の所有を禁止するかわり、健康で文化的な最低限度の生活を保障するというHIPSは、あらゆる会則をAIに委ねている。人々を惑わせるHIPSの周囲では、数々の不穏な事件が巻き起こる。完璧に見えるAIの管理。待つのは成功か、それとも破滅か――。
【目次】
内容説明
HIPS。それは、経済が停滞した日本に生まれた、前代未聞の扶助団体。すべての会員を監視下に置き、経済活動と財産の所有を禁止するかわり、健康で文化的な最低限度の生活を保障するというHIPSは、あらゆる会則をAIに委ねている。平和的な団体であるはずのHIPSだが、かつてない理念と道徳観は多くの市民に疑念や嫉妬、恐怖を抱かせる。人々を惑わせるHIPSの周囲では、数々の不穏な事件が巻き起こる。完璧に見えるAIの管理。待つのは成功か、それとも破滅か―。本格ミステリの注目株、全身全霊の意欲作。
著者等紹介
岡崎琢磨[オカザキタクマ]
1986年、福岡県生まれ。2012年『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』でデビュー。同書は第1回京都本大賞を受賞し、同シリーズはベストセラーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
星群
74
〝労働を禁止する〟〝生活は保障する〟!?!?なんて羨ましい会なんだ!!と一瞬トキメキましたが、実態は、、うーん、何ともいえない。そんな環境下で起きる事件。まぁ、しんどくても自分で働いた方が充実する様に感じました。完璧に見えるAIも失敗するんですね。冒頭に、パンフレットがついてて設定がしっかりしてて興味深かったです。あっ、入会はしません、笑。2025/10/04
ままこ
61
ちょっと想像してたのと違った。〈労働を禁止する。生活は保証する。〉がスローガン。経済が停滞した日本に生まれた、AIが管理する前例なき扶助団体HIPS。入会案内パンフレット見たら怪しげな宗教団体みたいな感じ。SF社会派小説かと思いきやミステリ要素が強かった。どの章にも疑念と嫉妬が渦巻き、推理力が高い人があちこちに。登場人物が多く頭を整理しながら読んだ。理想の箱舟の行方は…。社会派欺瞞ミステリ。2025/10/21
さちこ
55
世に出て来た時からセンスがある作家さんだと思ったけど、この作品は壮大で読み応えがあった。2025/09/28
えも
34
財産を投げ売って会員になれば、最低限の生活を保障する代わりに「働いてはダメ」という扶助団体。財源は圧倒的に能力の高いAIによる投資。このAIはウエラブル端末で会員を常に監視し、彼らに様々な宣託を下す▼最初の4章までは普通のトリックミステリで、「その設定いる?」と思ってたけれど、それらは伏線にすぎず、団体の謎を解く終章は、創立者こそ想定どおりだったものの、ある意味メッセージ小説っぽくて単純に面白かった▼タレーランの作家さん、今回は硬派だなあ。2025/10/29
よっち
27
経済が停滞する日本に生まれた前代未聞の扶助団体HIPS。一見完璧なAIによる管理が行われているHIPSの周囲で、数々の不穏な事件が巻き起こる連作小説。会員を監視下に置き経済活動と財産所有を禁止する代わりに健康で文化的な最低限度の生活を保障するHIPS。理想的にも思える仕組みが、実際には人の欲望や不安、倫理観を揺さぶり、様々な事件を引き起こす展開で、AIによる管理社会の可能性と危うさ、何より最低限の生活が保証されていれば良いのか、制度の理想と現実、人間の自由と管理のバランスを改めて考えさせられる一冊でした。2025/09/28




