出版社内容情報
不浄な首斬人と蔑まれる生業を祖父、父から継いだ別所龍玄は、まだ若侍ながら恐ろしい使い手。親子三代のなかで一番の腕利きとなった彼は、武士が切腹するときの介添え役を依頼されるようになる。金貸し業で別所家を守ってきた母、静江、五つ年上の妻、百合子と幼子の娘、杏子。厳かに命と向き合い、慈愛に満ちた日々を家族と過ごす、若き介錯人の矜持。生と死のはざまで凛とした世界が大絶賛された「別所龍玄」シリーズ最新刊。
【目次】
内容説明
息をのむ静寂。若き凄腕介錯人、別所龍玄。生と死の狭間に静かに光る厳かな世界。感涙の極上時代小説。
著者等紹介
辻堂魁[ツジドウカイ]
1948年高知県生まれ。出版社勤務を経て本格的に執筆業に入る。迫真の剣戟と人間の機微をこまやかに描く作風でいくつもの人気シリーズをもつ。大ベストセラー「風の市兵衛」シリーズで第5回歴史時代作家クラブ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
122
待っていました。介錯人・別所龍玄シリーズの第5弾!(ですよね?)元中間・松井文平の仇討の一話目。侍に憧れ養子となった町名主の息子の思いが哀しい二話目。龍玄馴染みの同心・本条孝三郎の母の話は三話目。最後は火盗改・長谷川平蔵の依頼の話。どれも好かった。龍玄のお勤めのシーンはいつも空気がヒンヤリする。武士とはなんだろう・・そんなことをつらつら考えるこのシリーズ。龍玄家族の温かさが沁みる。次は二児の父になってるのね。「おめでとう」2025/08/20
buchipanda3
87
寛政の頃、牢屋敷の首打役を生業とする別所龍玄を描いた時代小説シリーズ。その役から恐れと奇異な目を向けられるも、介錯人としての矜持を持ち、若くして見せる凛然とした彼の振る舞いにどこか魅かれる。その腕の評判は火付盗賊改本役、長谷川平蔵にまで及ぶ。今作では武士という身分に人の生死が翻弄される様が描かれていた。武士の心を持つ者がまがい物とされ、武士の心を忘れた者が人生を棒に振る。その心残りを龍玄の太刀が始末する。斬られる者と斬る者の特異な玉響の掛かり合い。その重さを和らげる存在の杏子の振る舞いに読み手も救われる。2025/09/03
pohcho
58
別所龍玄シリーズ新作。四編収録。切腹を命ぜられた侍たちの介錯人となる龍玄。宿願を果たし納得の上で死を迎えるもの、自分の罪に納得がいかないもの、逃げて逃げてさらに抵抗しようとするものなどさまざまだが、龍玄はすべての命に敬意を払いその最期に寄り添うのだ。大好きなシリーズ。美しい表紙もイメージぴったりでよし。杏子ちゃんの成長が楽しみだが、次作はお姉さんになるんだね。ますます楽しみ。2025/09/11
ひさか
31
小説宝石2025年1月号一僕、3月号武士の面目、書き下ろし黒髪、許されざる者、を2025年7月光文社刊。ストイックな龍玄だが、人情に厚く龍玄なりの誠意を尽くすところが良い。娘の杏子の様子がかわいい。2025/08/31
toshi
10
首切り職人(?)別所龍玄の物語の連作短編集。 やたらと長い肩書や、細かい描写を一生懸命理解しようと頑張ったのに、ほとんどストーリとは無関係。 おまけに何がどうなってるのか良く分からいところが多くて、気づいたら物語が進んでいたりする。 読みにくいだけでストーリもイマイチで私には合わなかった。 龍玄の娘の杏子の登場するところだけほっこり。2025/08/07