出版社内容情報
著者初の「私小説集」。大学生時代、3カ月の会社員生活、フリーランスのライターとして原稿用紙に鉛筆と喫茶店の日々……。「作家以前」の知られざる日々が、あの乾いた筆致と当時のレコード、そして珈琲を伴って鮮やかに浮かび上がる。本文中には小説に登場する121枚のレコードジャケット写真をすべて収録。さらに文庫版特典として「登場曲の数々を聴きながら読める」QRコードも掲載。この一冊で新たな読書体験が味わえる。
【目次】
内容説明
それまでの日本語文学にはなかった、まったく新しい文体で小説家・片岡義男が誕生したのは一九七四年。だがそれ以前の「フリーランスのライター」時代については綴られていなかった。その「作家以前の自伝」を、当時流れていた音楽と結び付けた異色の私小説集。物語に登場する百二十一枚のレコードジャケット写真に、読みながら曲を聴けるプレイリストの二次元コードを併載。
目次
1960 ディーン・マーティンもリッキー・ネルスンも、いまのうちだから
1961 スミス・コロナのタイプライター。ばったり。うっかり。がっくり。どっかり
1962 一月一日の午後、彼女はヴェランダの洗濯物を取り込んだ
湖のほとりのプールに陽が沈む。そして夏は終わる
1963 あのペンネームはどこから来たのか
大学の四年間は一通の成績証明書となった
真珠の首飾りを彼女がナイト・テーブルに置いた
営業の人になりきったら、それ以外の人にはなれないでしょう?
男の社員ばかりで鬼怒川温泉に行き、それからどうするというのか
あなたは、このコーヒーの苦さを忘れないで
だからそこでは誰もが霧子だった
彼は鎖骨の出来ばえを語る。隣の店ではボブ・ディランが語る
1964 バラッドは彼女の全身に吸い込まれていった
ひょっとして僕は、甘く見られているだろうか
僕はいま拍手をしています。聞こえてますか
みなさんのお店ですから、気をつけてください
今日という日がすべてひっくるめられた一曲とは
クリーム・ソーダは美しい緑色のフィクションだ
女が鳴らす口笛は恋の終わりの東京ブルース
1965 ビリヤードの匂いと江利チエミ、そしてパティ・ペイジ〔ほか〕
著者等紹介
片岡義男[カタオカヨシオ]
1939年東京都生まれ。作家、写真家、翻訳家。早稲田大学在学中の1960年からコラムの執筆、翻訳を始める。大学卒業後、3か月の会社員生活を経て、フリーランスのライターになる。1974年に『白い波の荒野へ』で作家としてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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