出版社内容情報
腕利きの南町奉行所定町廻り同心・春野風太郎の元へ配下の岡っ引きが駆け込んで来た。評判の医者・望月州白が往診から帰ってこないのだという。早速、探りを入れてみるものの、その影は見えない。ついに明らかになった事件の真相は……。ほかに風太郎の家臣や乾分たち「風太郎組」の面々も大活躍。風太郎自身にも得体の知れない人物が忍び寄る事件もあり、笑いあり涙あり爽快感抜群の一冊。大人気の新シリーズ、待望の第二弾!
内容説明
町の者に人気の南町奉行所定町廻り同心・春野風太郎に懇意の芸者・お松から呼び出しがかかる。話を聞けば、上方から来た客が風太郎の話をしていったのだという。風太郎には心当たりがあった。以後、風太郎の周りでは、「宿敵」が引き起こす“異変”が次々に起こり始める。風太郎が最後に下した決断とは…。笑いあり涙ありの爽快な新捕物帖シリーズ、待望の第二弾!
著者等紹介
岡本さとる[オカモトサトル]
1961年、大阪市生まれ。立命館大学卒業後、松竹入社。松竹株式会社90周年記念新作歌舞伎脚本懸賞に『浪華騒擾記』が入選。以後、演劇制作や舞台の脚本、『水戸黄門』等のテレビ脚本を数多く手掛ける。2010年、『取次屋栄三』で小説デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
123
シリーズ最新刊は風太郎のキャラが少しずつ私の中で確立されてきたような・・そんな第二弾。風太郎が頼りにする喜六親分や、その手下・加助に佐吉も好い。関係性が巧く練られていた最終話『宿敵』が好み。亡くなった利兵衛親分の息子・彦太郎は貰った二十両をどうするだろう?ちょっと気掛かり。そして、出来ればもっとお松姐さんの出番があると嬉しいな(笑)2025/05/12
タイ子
74
シリーズ第2弾。医者は仁術で看る人もいれば、算術とプライドだけでのさばっている医者がいる。往診に駕籠に乗る医者を乗物医者、それ以外は徒歩医者というそうな。この乗物医者が行方不明になり、実態が明かされた結末に「町人をなめんなよ」って言いたくなるようなスッキリ感。春風風太郎が頼りにする岡っ引きの喜六の手下たちの素性が明かされていくと物語がだんだん身近になってくる。風太郎の宿敵が現れ、ひと悶着が起きるも風太郎にかかれば積年の恨みもどうにか片付いてしまう。今作に小間物屋の礼次の登場が少ないのはちと寂しいかな。2025/05/31
がらくたどん
51
シリーズ2作目。見た目も花丸・仕事も有能な南町奉行所きってのモテ男春野風太郎の「モテキャラ」だけじゃない人となりが少しづつ見えてくる。病没した両親への想い。看取ってくれた老医師への気遣い。父のように慕う先輩同心への敬意。そして年若くまだまだ発展途上の手下・子分達への兄のような心の砕き方。颯爽とした表の顔に隠された迷いや優しさや生真面目さが見え隠れする。事件も初巻より一段ほど複雑に。高名医師の誘拐・清廉な寺子屋師匠の醜聞・潜入捜査の罠・怪盗との因縁とどれも表面の一枚下に目を瞠る真実が隠されていて興をそそる♪2025/05/26
真理そら
43
「父子桜」「正義の師」「夏の風」「宿敵」の4編。風太郎が見習いの頃に関わった「敵」との不思議な交流を描いた「宿敵」が好き。相変わらず女っ気不足、岡本先生の描く女の人のキャラが好きなのに…。2025/04/20
すみっちょ
4
殺人事件はあるもののなんとなく心が温まる話ばかりでしたが、第四章が特に好きでした。時代小説には風太郎とたまゆらの六之助のような関係の話がよく出てくる気がしますが、実際のところはどうだったのかなといつも思っています。時代小説が結構好きでよく読むのですが、自分なりに想像を膨らませることができるところが楽しいなと思います。2025/06/22