内容説明
「障害者になりたくてなったんじゃない!」日常的な締め付け、虐待、書類偽造による「水増し請求」…それでも肉親にとっては「必要悪」か?利用者との交流、職員との対立、日々募る違和感と葛藤―ひょんなことから施設で働くようになった著者が見た現実とは?
目次
第1章 真冬の逃走劇
第2章 知的障害者施設内の虐待
第3章 「利用者に甘く見られないよう、厳しく接しなければならない」
第4章 「父権主義(パターナリズム)」からの脱却
第5章 知的障害者の「当事者主権」を実現するために
第6章 水増し請求
第7章 ペナルティ主義への抗議
著者等紹介
織田淳太郎[オダジュンタロウ]
1957年北海道室蘭市生まれ。早稲田大学卒業後、週刊誌記者を経てノンフィクション作家に。スポーツ分野を主戦場としてきたが、最近は「死」や「孤独」、「深層心理」など人間存在の根幹に触れる普遍的なテーマに目を向けるようになった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネギっ子gen
54
【辛口です】著者は、<「利用者様に寄り添い、その自立を支える」といった福祉の理念を美名的に掲げているものの、そこは目を疑い、耳を塞ぎたくなるような虐待の温床だった>と書く。このようなT作業所の酷い実態を世に問うのが本書発刊の目的であるとすれば、このタイトル名は不適切でなかったか。元週刊誌記者が書いた本のタイトルに「潜入記」とあれば、当然「(意図した)潜入取材記」だと本書を手に取った者は思う。が、頁を捲ると早々に、<最初は潜入記など書くつもりはなかった。乞われるまま、あまり気乗りもせず入職した>結果だと。⇒2025/04/29
shi-
13
う〜ん、虐待に当たる行為はもちろんあってはならないことなんだろうけど、施設で働いている方の気持ちもわからなくもない。施設に入ってもらっている以上、少なくとも入所者の安全と、健康には留意しなくてはならなくて、そんな中で各々の希望や要求を全て聞いていたら、人手は絶対に足りないだろうし、自宅のように過ごしてもらいたい、と思っていても自宅ではないことは事実。働いている職員も初めから、障害に対して、見下したり、支配してやろうなんて思ってなかったはず、って思いたい。医療や介護にはマンパワーと見合った報酬がきっと必要 2025/03/20
みかん屋
5
T作業所をだけの話なら、もっと面白いだろう 海外の文献比較が専門的になりすぎてツマラナクなって残念 潜入記なんだから海外と比べなくても良いだろうし本人が海外で働いてもいないから内容が薄くなってます2025/03/27
Asakura Arata
4
昨日、精神保健指定医の講習を受けてきたのだが、高き理念の内容と、この本の実情との乖離が凄まじいなあ。あまりにも他人をコントロールし過ぎようとするのはよくないなあ。、2025/01/27
Akio Kudo
3
★★★★★ 綺麗事抜きの障害者福祉、グループホームになって施設から地域へと言うのは単なる欺瞞でしかないことを証明している。この作者自体も利用者への対応が逆転移を起こしているのは興味深い。援助に携わると誰でもこうなってしまう精神障害、知的障害の難しさ。2025/03/08
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