出版社内容情報
江戸指折りの芝居小屋・市村座の人気女形・荻島清之助。芝居中に起きた騒動が原因で干されてしまったある日、清之助が贔屓にしている吉原一の遊女・紅花太夫に迎えられた宴で、不気味な子守唄を歌う禿「七」の噂を耳にする。火焙りになった「お七様」が化けて出る――。翌日、清之助自身も偶然、紅花と同じく開運稲荷でその娘に出会い、正体を追い始めた。「祟り」の真相とは? 吉原を舞台に人々の業が渦巻く傑作時代ミステリー!
内容説明
不気味な子守唄を歌う少女は「八百屋お七」の幽霊なのか!天和の大火の翌年、江戸指折りの人気女形・荻島清之助は、吉原一の遊女・紅花太夫の宴で奇妙な噂を耳にする。翌日、それらしき禿と出会った清之助は興味を掻き立てられ、正体を探り始めた。次々と起こる災厄は「お七」の祟りなのか?吉原を舞台に人々の業が渦巻く、傑作時代ミステリー!
著者等紹介
田牧大和[タマキヤマト]
1966年、東京都生まれ。2007年『色には出でじ 風に牽牛』(『花合せ 濱次お役者双六』に改題)で全選考委員からの絶賛を受け、第2回小説現代長編新人賞を受賞し、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みや
17
吉原で噂される八百屋お七の祟りの謎を太夫と女形が解く。人々が祟りを本気で恐れる様子も薄気味悪い七の面妖さも間違いなくホラーだが、好奇心を擽ってくれる謎が沢山あるのでミステリのワクワク感の方が強かった。交互に展開する2人の視点で遭う幾つもの事件や怪異が、一個の真実によって全てすっきりと整えられる様は本当に美しい。焼け落ちた江戸の中で表向きは華やかな遊郭と芝居小屋。そこには嫉妬や憎悪が蔓延り、光と闇が混ざり合う不安定な空気が常に付き纏うのも良かった。結末は予想外の切なさで胸がキュッとする。いつかきっとまた…。2025/03/13
もちこ
5
立役の悋気で暇を出された人気女形の新九郎さんが、馴染み(お手本として)の太夫からお七を名乗る禿?の噂を聞き、その真相を究明しようとして…。病や人死に、足抜けはあの八百屋お七の祟りなのか?ミステリ仕立てだけど、ちょっとホラーみも。さくっと読めて、おもしろい。205-192025/02/18
k.inoue
1
田牧大和2021年作、芝居役者女形の新九郎、吉原の花魁紅花、読売屋の庄次、かどわかされたおすず、登場人物が多いなかでの新九郎の謎解き、作者の知見の深さに敬服2024/12/05
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