出版社内容情報
ある医大が入試の採点過程で女子の点数を意図的に下げている――衝撃的な「噂」を耳にした新聞記者の檜葉菊乃は独自の調査を始め、理事の神林晴海に目をつける。巧みに追及を躱す神林だが、突破口はそこしかないと考え、檜葉は何度も攻め立てる。男性優位の社会で、共に無数の理不尽に直面してきた二人。それでも敵対せざるをえない彼女たちの闘いの行方は……。話題作、問題作を絶えず放つ著者が挑む、社会にはびこる差別の根源。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akiᵕ̈*
28
私立医大の裏口入学の捜査を発端に、それとは別で女子一律減点操作が常態化されているという事を耳にした新聞記者の菊乃は、自身の娘が正に医師を目指している事もあり、あってはならないその真相を追っていく。大学側の矢面に立たされたのは、事務局上がりで理事になった神林晴海。同世代であり、女性であるというただそれだけで男性上位の悪き風習による数々のハラスメントに耐え、今の地位を築いてきた二人の駆け引きと攻防は、どちらも己の職務に揺るぎない信念を持っての真っ向勝負の対決だった。性差という社会の仕組みに一石を投じる。2024/04/25