出版社内容情報
西加奈子初のノンフィクション。
著者情報
77年生まれ。 2004年に『あおい』でデビュー。 07年『通天閣』で織田作之助賞、 13年『ふくわらい』で河合隼雄物語賞、15年に『サラバ!』で直木賞を受賞。 他著書に『ふる』『i』『夜が明ける』等
内容説明
カナダで、がんになった。あなたに、これを読んでほしいと思った。西加奈子、初のノンフィクション。
目次
蜘蛛と何か/誰か
猫よ、こんなにも無防備な私を
身体は、みじめさの中で
手術だ、Get out of my way
日本、私の自由は
息をしている
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
661
西 加奈子は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者初のノンフィクションは、異国(カナダ バンクーバー)の地、コロナ禍の乳癌闘病記でした。私もガンサバイバーなので、思いっ切り共感出来ました。著者には、これからも何とか新作を発表いただきたいと思います。しかし「くも」が蜘蛛🕷だとは・・・ 今年のBEST20候補です。 https://www.kawade.co.jp/kumosaga/2023/05/27
Sato19601027
572
力強いエッセイである。異国のカナダで乳癌と宣告され、手術を経て治癒するまでの心の動きが丁寧に描かれている。「異国での癌治療」という重いテーマであるにも拘わらず、軽快なテンポで読めるのは、引用された文章の数々に唸らされ、関西弁の話し言葉に笑わせてもらったからだろう。「日本人には情があり、カナダ人には愛がある」という観察眼や、LGBTQIA+の人々への配慮に感動。癌を発見できた切欠となった蜘蛛は、本当におばあちゃんだったのかもしれない。(書店員が選ぶノンフィクション大賞オールタイムベスト2023大賞受賞作品)2023/11/27
bunmei
535
直木賞作家・西加奈子が、カナダ移住後に発症した乳癌との闘病生活を綴った一冊。言葉もままならなく、医療体制も日本とは違うカナダでの癌治療は、不安と苦しみの連続であっただろう。しかし、文面からは、人は決して一人では生きていけない事、人を頼る事で繋がり合う素晴らしさが、溢れている。異国の地で死を間近に感じたことで、改めて自分の弱さを認識し、それを露呈する事で、生きる力への執着とポジディブさへと変換した事が覗える。また、カナダの看護婦や医師の言葉を、能天気な大阪弁で表現しているのは、西さんらしい描写である。 2023/06/09
うっちー
487
経験者でしかわからない境地かもしれません。還暦すぎると、いつ来てもおかしくないと思いました2023/05/28
原です。
460
★★★★★カナダに居住していることも知らず、乳がんになっていたことも知らず、コロナ禍の中で闘病生活をしていたことも知らず、そこから復活していることも知らず。闘病中から日記や文章を書きながら、カナダでの闘病生活をここまで興味深くかつユーモア溢れて表現したエッセイは他にあるのだろうか。死ぬために生きるとはいえ、本当に西加奈子さんが生きていて良かったです。感謝です。2023/04/30