出版社内容情報
紀元前7世紀。中央アジア、カスピ海沿岸の沼沢地帯マッサゲタイに生まれたタハーミラィの運命は、国王カーリアフに嫁ぐことで大きく動き出す。戦乱の予感の中、王に従いメディア帝国の都に辿りついた彼女は、いつか夢の王国を築きたいと語るクルシュという青年に強く魅了されるのだが――。広大な版図の大地で、戦乱と政治に翻弄されながら己の運命を切り開き、強国に立ち向かった実在の女王の半生を描く、壮大な歴史ドラマ!
内容説明
沼沢ゲタイの氏族長の姪として生を享け、マッサゲタイ国王に嫁ぐことになったタハーミラィは、訪れたメディア帝国の都で運命的な出会いを果たす。いつか夢の王国を作る、そう語る男の正体が知れた時、タハーミラィは裏切りと権謀術数、戦乱の渦に巻き込まれていく―。帝国の滅亡と勃興、古代オリエントの壮大な歴史を元に、波乱の女王の生涯を描く一大叙事詩!
著者等紹介
篠原悠希[シノハラユウキ]
1966年、島根県生まれ。現在、ニュージーランド在住。2013年、『天涯の楽土』で第4回野性時代フロンティア文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さつき
64
紀元前6世紀のカスピ海東岸のマッサゲタイに生まれた碧眼の少女タハーミラィが主人公の歴史ファンタジー。アケメネス朝ペルシアが大帝国になっていく激動の時代。タハーミラィは氏族の盟約のために王に側妃として仕える事になる。淡い恋心を抱く従兄への思いを胸に秘めながら。ひょんな事で知り合った謎のファールス人との交流は彼女に何をもたらすか?馴染みのない時代地域の話しですが一人の少女の成長を追うように楽しめます。田中芳樹氏が解説に書かれたように「宿命の男女」のスペクタクルな物語で読了後は虚脱してしまうほど没頭しました。2024/05/04
優希
49
面白かったです。運命の出会いを果たしたタハーミライ。夢の未来を作ると語る男の正体が、裏切りと戦乱の渦に巻き込まれていく流れにハマりました。古代オリエントの壮大さを背景に戦乱の女王がいかにその生涯を過ごしたかが描かれるのに惹かれます。まさに叙事詩と言っても良い作品でした。2024/06/27
よっち
37
古代オリエントの四大帝国時代を舞台に、その終焉と戦乱の時代を生きたマッサゲタイ女王タハーミラィの数奇な運命を描く古代オリエント歴史小説。氏族長の姪として生を受け、マッサゲタイ国王に嫁ぐことになったタハーミラィ。希望を見出だせなかった境遇から、訪れたメディア帝国の都で運命的な出会いを果たしたファールース王クルシュ、そこから過酷な状況を夫と共に生き抜いて立場を自覚するようになってゆく彼女の覚悟だけでなく、意外な半生を送った従兄のその後も印象的で、ロマン溢れる筆致で描かれた壮大な物語の結末はなかなか鮮烈でした。2024/04/10
うめきち
16
単行本、持ってますが全く開かず、文庫化されて購入し、やっと読了。大冒険を一緒にしたようなそんな読後です。素晴らしい2024/11/09
punto
6
広大なペルシャ帝国を築いたキュロス二世を殺したのはマッサゲダイの女王だった。その史実をもとに書かれた歴史小説。裏切りや息子の死など、過酷な現実を生きながらも、初恋のゼーズルや忘れえないあこがれの人であり、裏切った人、クルシュ(キュロス二世)にっとても彼女の存在が実は大きかったことが分かって少し満足した。パラディサは地上にはない。でも心の中にある。読み終わってからすぐ少し読み返しました。これはもっといろいろな人に読まれるべき本だと思います。お勧め!2024/09/12