出版社内容情報
新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。近くの公園にある古びたカバの遊具・カバヒコには、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説が。アドヴァンス・ヒルの住人は、悩みをカバヒコに打ち明ける。成績不振の高校生、ママ友と馴染めない元アパレル店員、駅伝が嫌な小学生、ストレスから休職中の女性、母との関係がこじれたままの雑誌編集長。みんなの痛みにやさしく寄り添う、青山ワールドの真骨頂。
内容説明
公園の古びたカバの遊具、カバヒコ。カバヒコに触れると、治したいところが回復するという。誰もが抱く小さな悩みにやさしく寄り添う青山ワールドの真骨頂。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
akky本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
841
公園にある古びたカバの遊具、人呼んでリカバリー・カバヒコ。カバだけにね。そのカバヒコには、自分の辛い体の部分を触ると回復するらしい。ずっと雨にさらされ風にもさらせれ、毎日誰かを元気にしてくれるカバヒコ。そりゃ色が剥げたりするわな。そのカバヒコをたまには綺麗に拭いたりして、カバーしてあげたい。カバだけにね。元気、勇気、気づきをくれて、道標を示してくれる、人呼んで道標の青山美智子。“みち”だけにね。今作も、繋ぎに繋いで別名、繋ぎの青山美智子の本領発揮。青山美智子ワールドにリカバリーされること間違いなしです。2023/10/10
さてさて
811
『カバヒコってね、すごいんだよ。怪我とか病気とか、自分の体の治したい部分と同じところを触ると回復するって言われてるの』。五人の主人公たちがそれぞれの人生に思い悩む姿が描かれたこの作品。そこには、他人には決してうかがい知ることのできない心の葛藤を見る物語が描かれていました。決して特別ではない主人公たちの苦しみを自分に置き換えてもしまうこの作品。読後、近くの公園の『アニマルライド』に触れてみたくもなるこの作品。“大丈夫。私たちはきっと、リカバリーできる。”、という本の帯の言葉が優しく心に響いてくる作品でした。2023/09/24
starbro
799
青山 美智子は、新作中心に読んでいる作家です。 ヒポポタマス連作短編集、本屋大賞にノミネートされた作品に比べると弱い気がしますが良作でした。オススメは、『奏斗の頭』&『紗羽の口』です🦛🦛🦛 https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/97843341005202023/10/27
bunmei
721
誰もが多かれ少なかれ悩みや葛藤を抱え、傍から見たら「そんな事で…」と思うことも、本人にしたら死活問題。そんな日常生活の中のアルアルな出来事を取り上げ、現状から新たな自分へと切り拓こうとする人々の心情を描いた、青山作品らしい短編集。そのターニングポイントとして描かれているのが、寂れた日の出公園にあるカバのアニマルライド。怪我や病気の治したい場所をそれにこすると、ご利益があるとされる通称リカバリー・カバヒコ。悩める人々が、カバヒコにほんの少し勇気を貰い、過去の自分と決別して次の一歩を踏み出していく5つの物語。2023/10/24
うっちー
705
青山さんらしいほっこり系!年代性別問わずほっこりできます2023/10/11