内容説明
「青春の彷徨」では、愛しあう若い二人が“死場所”をもとめて北九州の阿蘇、耶馬渓をさまよい歩く…。青春の甘美な哀しみの底に流れる不安感を、著者はおだやかだが冷徹な眼でとらえている。このほか推理小説「地方紙を買う女」「市長死す」「捜査圏外の条件」。芸術家の創造へのたたかいを追究した傑作「運慶」。歴史小説「ひとりの武将」「廃物」。現代小説「喪失」「弱味」などを収めた。没後十年復刻新版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユウユウ
21
「運慶」は高校生の時に模試で読んだ。あまりのかっこよさに衝撃を受けました。2020/06/18
まみっち
3
帰省中につき実家の本棚から拝借。初の松本清張。物価に違和感を感じたら昭和39年の本で値段も280円ということにまずびっくり。おかげで登場人物の生臭さが和らいだ。《市長死す》と《捜査圏外の条件》とドラマ化の記憶もある《地方紙を買う女》がお気に入り。2018/03/18
ユウユウ
1
「喪失」二兎を追うものは…という話ではあるけれど、同情も禁じ得ない。 「市長死す」品行方正な市長が秘めていたものは…。過去に何かあったことは想像されるも、設定に少し予想外な哀しさがあった。 「青春の彷徨」それで?それで?と思わず引き込まれる。誰かの過去の話なのかなと、少しにやつく気持ちも浮かぶ。 「弱味」この話を読んで、何ら後ろ暗いところがない政治家って何人いるのだろうか。「ひとりの武将」佐々成政。名前は知っていてもなかなか主役にはなりにくいこの武将の心の機微を描き出す。→2020/05/29
まりん
1
短い中に清張のエッセンスがぎっしり。表紙の装丁も洗練されているのでブックカバーいらず。2010/10/17