出版社内容情報
世界史の出来事を、その歴史的意義やもたらした影響を中心に長文論述させる東大入試名物の第一問。過去問から特に優れたものを厳選。
内容説明
東大の入試問題で細切れだった知識が武器に変わる。近現代を見通す、受験生にも社会人にも有用な世界史入門。
目次
第1部 国際社会の成立(革命によって国家は生まれた;アメリカとラテンアメリカ諸国の差異;イギリスを中心に展開された「侵略と抵抗」;「抵抗」する中華世界;「抵抗」の中心にはあの国がいた;技術革新に支えられた「抵抗」;民衆と指導者たちの国際体験)
第2部 国際社会の発展(戦争の助長と抑制;世界大戦は世界を変えた;「帝国」の終わり;戦争の苦悩と惨禍・平和の解放と希求)
第3部 国際社会に残る問題とこれから(冷戦で分断された国々;植民地主義の遺産;経験なきアジア;女性の闘い)
著者等紹介
福村国春[フクムラクニハル]
1983年生まれ。慶應義塾大学文学部人文社会学科卒業。東洋史学専攻。のちにもう一度、同学部に編入し、美学美術史学を専攻。専門は世紀末芸術。在学中から世界史の講師として教鞭をとり、卒業後は都内に歴史専門の大学受験塾「史塾」を設立。私立高校の学生を中心に指導を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ta_chanko
21
ミッテラン仏大統領曰く「主権国家、それは戦争である」。東大世界史の問題は「国家」を主題にし、タテヨコの繋がりを意識させ、何らかのテーマに即した共通点や相違点について考えさせながら最大600字で論述させる骨太の問題。しかも、日本史や地理などと2科目同時に制限時間内に解かなければならない。単なる暗記ではなく、本当に歴史の流れを理解しているかが問われる。難しいが良問が多い。多くの高校生や大人がここまで辿り着かずに歴史の勉強を終えてしまうのが勿体ない。問題に向き合っていくなかで、歴史への理解は格段に深まっていく。2021/07/23
kaze
15
東大の入試問題を使って演習形式で世界史を解説する一冊。東大の問題は常に「国家」を主題にしているので、「国家」という視点から読み解く世界史といえる。「国家」という観点から世界史を見直すと、どのようにして国際社会が成立し発展してきたのか、かなり知識がすっきりと整理された気がする。先生と生徒の問答形式で、生徒の思考が深まっていく過程が描かれているので、なるほど知識を活用するとはこういうことなのだなと、頭の使い方の勉強になった。この本を読んでから新聞の読み方も少し変わった気がする。2022/09/05
そうたそ
15
★★★☆☆ 東大の良問から世界史を学ぶ一冊。学校で世界史のタテの関係ばかり学びがちだが、世界史の理解を深めるには縦横無尽に関係を理解していないといけないと改めて思わされる。問題文を読解し、更に自分の中で様々な要素を構成するというプロセスが必要なあたり、東大の問題は他大学と一線を画することがよく分かる。自分なら絶対解ける気がしないと思うだけに、これをいざ本番の場で見せられて解いてしまう受験生は凄い。2021/11/23
かんがく
15
東大世界史の15問を、近代国家成立~冷戦後の諸問題と時系列順に配置し、実際に高校生が問題を解いていくプロセスを提示する本。コンパクトでありながら、近現代史のエッセンスを掴むことが出来、東大世界史の出題意図と解答法もわかる良書。豊富な構成メモが理解を深めさせる。2021/07/29
キリル
11
東大世界史の入試問題から選りすぐった良問から近現代の歴史を新しい視点から見つめ直させてくれる本。単に指定語句を覚えるだけでは見えてこない景色が答案を完成させることで見えてくるというところにわくわく感といろいろな視点から見る歴史の味わい深さを感じました。与えられた用語が果たしうる役割を推察して回答という結論を導く流れはまさに推理小説で、使い場所を予想しその通りピースとして嵌まった時や空間と時間を繋ぐのに足りなかった物語が一つの用語をキーとすれば鮮やかに浮かび上がることに気づいた時の快感はたまりませんでした。2021/12/08