内容説明
フリーランス麻酔科女医として活躍する著者が、女医の歴史やイメージの変遷なども振り返りつつ、女医をめぐる現状を鋭く分析。真に有効な「女性活用」「医師の働き方改革」のためのヒントを提示する。女医を目指す人へのアドバイス(「令和を生きる女医たちへ」)も掲載。
目次
序章 東京医大事件が世に問うもの
第1章 女医の年代記
第2章 女医と東京医大事件
第3章 女医の人生すごろく
第4章 女医の使い方
第5章 令和を生きる女医たちへ
著者等紹介
筒井冨美[ツツイフミ]
1966年生まれ。フリーランス麻酔科医。地方の非医師家庭(医師ではない一般家庭)に生まれ、某国立医大を卒業。米国留学、医大講師を経て2007年より「特定の職場を持たないフリーランス医師」に転身。本業の傍ら、メディアでの執筆活動や、医療ドラマの制作協力にも携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
香菜子(かなこ・Kanako)
29
女医問題ぶった斬り! 女性減点入試の真犯人。筒井冨美先生の著書。女性減点入試なんて絶対に合ってはならないことだし、日本社会に女性蔑視、女性差別、男女不平等が根強く残っている何よりの証拠。女性医師が過度な負担なく気持ちよく快適に働ける環境や制度を整えないと、この国の将来は暗いと感じます。2019/07/15
おいしゃん
28
面白く一気読み。女医がモテるためにはとか、いかに結婚まで持っていくかなど軽妙には書いているが、著者の根底にある「いかに医師の労働条件を改善するか」という問題意識がしっかり伝わってきた。そして、ママさん医師や研修医が実質あまり機能しないがために、特定の人が業務過多になるのはどこも同じなのか…。2022/01/29
イトノコ
25
東京医科大学の女子減点問題から浮かび上がる、現行制度の問題点。著者の経験や印象による部分も多いが、納得できるのが大部分。結論としては、労働には相応の対価を。これ当たり前。しかし残念なのは、男性医師に関しては従来のシャカリキ医師像しか想定されていない点。今後はどの業界でも男性=仕事ファースト、女性=?という図式は崩れよう。企業や社会に滅私奉公しても、生活の保証や相応の見返りが用意されるわけではない。ならば男性も自分や家族を優先して何が悪い?ゆるふわ女医という言葉が頻出するが、チャラフラ男医、きっと増えるぞ。2020/02/07
terve
25
フリーランス女医が医療現場の事実を分析した本です。東京医大で女性減点入試が行われましたが、医療現場としての実際が優先された結果でした。許されるべきことではありませんが、解決のための課題は山積みであるのが現状です。まずは事実を知ることからでしょう。とはいえ、新研修医制度や新専門医制度など国が設定した制度によって医師不足等も出ているようです。どこか、教員の世界にも似ているような気がします。結局のところ、現場を知らない人間が制度を作るということが一番の悪ではないかと思います。2019/10/02
matsu
12
東京医科大学の入試の男女差別問題の詳細から、現代の女医についてのあれこれを記している。しかし問題の本質的解決を示しておらず非常に残念な本。特に第3章(女医の人生の流れを示している)は個人の印象や偏見以上のものがなくヒドイ。こういうことを論じる時は、社会学的アプローチから統計解析を行うか、それが難しい場合はインタビューなどを通じた個別事例を挙げるべきだがどちらも行なっておらず、著書の周りの人の印象を述べているにすぎず刊行するレベルに達していない。2019/08/12