内容説明
実はおかしなことに、税務署員には“課税ノルマ”があり、手練手管で市民から税金を搾り取り、常に追徴を狙っている。彼らは「一円でも多く税金を取る」ことを至上命令とし、税金さえ取れれば紛飾決算やブラック企業にも目をつぶり自らの保身しか考えない。「会社をつぶして当たり前」という価値観さえ持っている。さらに、OBの多くは大手企業や地方の有力企業の顧問税理士となっているため、そういう企業への調査は甘くならざるを得ず、一方、弱い中小企業には容赦ない。まさに強きを助け弱きをくじく、あくどい組織だ。元国税調査官が、謎に包まれた組織の実態を暴き、税務署から会社を護る知識を伝授する!
目次
序章 税務署は“正義の味方”ではない!
第1章 “脱税摘発”というお仕事
第2章 とある調査官の日常
第3章 税務署という謎の組織
第4章 ドラマ「半沢直樹」“黒崎査察官”の正体
第5章 「マルサの女」と「トッカン」の真実
第6章 脱税請負人と税務署員の怪しい関係
著者等紹介
大村大次郎[オオムラオオジロウ]
大阪府出身。国税局で10年間、主に法人税担当調査官として勤務し、退職後、経営コンサルタント、フリーライターとなる。執筆、ラジオ出演、テレビ番組の監修など幅広く活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おいしゃん
24
税務署、都税事務所、国税局、国税庁…普通に暮らしているとその違いすらよくわからないが、元税務署員である著者の本書で、それらのパワーバランスや時代遅れな風土がよくわかった。2022/04/23
たくのみ
12
国税調査官、原始記録、内定調査、国税局の現場で10年間働いた現場を知り尽くした著者が語る内幕本。半沢直樹の黒崎が横柄になった訳、天下り先が必要なキャリア官僚、税金の無駄遣いの温床となる公益法人、日本の行政システム全体への警鐘を鳴らしている。OB税務氏による脱税指南の手口、使える税理士の見分け方など、使える情報もあって、読み応えがある。国税局調査査察部「マルサ」、国税局情報部隊「ナサケ」、特別徴収官「トッカン」など、ドラマに登場する税務職員たちの実際の悲喜こもごもの姿も知ることができるお得な一冊。2014/11/22
みどるん
7
徴税ノルマがきつそう。違反者をホイホイ発見できる警察と違って、決まっている対象から重箱の隅をつつくように税金を搾るのは無理がある。あまり関係ないキャリア官僚の話も書いてあった。やっぱり天下りは今の制度上仕方ない気もする。その安心感がなかったら、高確率で負け組になるキャリアになって安い給料で家に帰れないほど働き続ける人間はいないだろう。2014/07/11
らっそ
6
大学の同級生が出世していることが確認出来た 書き置き:税務署は常に正しいことをしているのではなく、むしろ法スレスレの方法で税金を巻き上げているのです/2016/02/24
ゆき
5
税務署の仕事内容や生活スタイル、将来の展望などが自虐的に描かれている。新書なので、ざっと全容を知るには読みやすくいい本。日本の税金のしくみや国税徴収部門の人が中小企業の税務申告のあら探しをして追徴課税にこぎつけなければならないプレッシャー、税務署に23年勤めれば高卒でも仕事ができなくても誰でも税理士の資格が付与される、とか、知らないことが多く勉強になった。2021/02/07