内容説明
ウルリヒ・ベックというドイツの社会学者は『危険社会』という本で、富の分配が重要な課題であった産業社会の段階を超えて、科学技術によって作られる「危険」の分配が重要な課題となったと論じた。生命の危険を誰が負担するかという話である。それは必ずしも、物理的な危険性の話ではなく、経済的な危険も含んでいる。日本はそのリスクの負担を究極までに避けてきた。絶対の「安全」を追求していけば、少しでも危険といわれたものは避けようとする。根拠がなく、ある食品や商品、地域や日本ブランドそのものが「安全でない」と見なされて、経済的被害を引き起こす。それが「風評被害」である。
目次
第1章 風評被害とは何か
第2章 「放射能パニック」と風評被害
第3章 原子力事故と風評被害
第4章 メディア報道と風評被害
第5章 安全と風評被害
第6章 流通と風評被害
第7章 観光産業と風評被害
第8章 企業・金融・保険と風評被害
第9章 東日本大震災における「風評被害」と「うわさ」
第10章 東日本大震災後の日本が抱えるジレンマ
終章 風評被害にどう立ち向かうか
著者等紹介
関谷直也[セキヤナオヤ]
1975年新潟生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒。東京大学大学院人文社会系研究科社会情報専門分野修士課程修了。東洋大学社会学部准教授。2007年日本災害情報学会学術貢献分野・廣井賞受賞。2009年日本広報学会賞優秀研究奨励賞・日本広告学会賞学術部門賞受賞。専門は災害情報・環境情報の社会心理、安全社会論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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井月 奎(いづき けい)
501
リキヨシオ
ふろんた2.0
おおかみ
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