内容説明
47%の得票で74%の議席獲得。民主党圧勝は民意といえるか?時代遅れになりつつある二大政党制の欠陥を指摘し、政党政治とデモクラシーを、いま改めて考える。
目次
第1章 政党はどのような存在なのか(「部分」としての政党;歴史の中の政党 ほか)
第2章 政治改革論と「政治工学」の始まり(有識者会議の提言;「小選挙区」か「併用制」か ほか)
第3章 二大政党制の誤謬(「デュヴェルジェの法則」と二大政党制;「単峰型社会」での政党政治 ほか)
第4章 歴史の中の政党政治―なぜ社会に根付かないのか(3つの革命と政党;社会ネットワークの中の政党 ほか)
第5章 もうひとつのデモクラシーへ(忘れられた「憲政=コンスティチューション」の政治;「闘技デモクラシー」の可能性 ほか)
著者等紹介
吉田徹[ヨシダトオル]
1975年東京生まれ。慶応義塾大学法学部卒、日本貿易振興機構、東京大学総合文化研究科、日本学術振興会特別研究員を経て、現在北海道大学法学研究科准教授(学術博士)。専門は比較政治学、ヨーロッパ政治(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
5
2009年10月刊であることは評価されるべき。民主党政権発足時の熱狂への逆張りではなかったことが今なら明白。/「政治工学」的手法への批判/闘技的民主主義/二大政党は特定の社会層を「無視」する、その結果として無党派層が増えるかもしれない/敵対的な二大政党制は新自由主義と親和的/「カルテル政党」への危惧/迂遠でベタな話だけど、「私」を代表してくれると感じることの出来る、市民社会に溶け込み根をはる政党(政治家)の形成が大事だと読みました/2016/07/27
がっち
4
二大政党批判論というか、いまの日本の政治体制に問題意識をもって語っている。今の日本の政治ではただの権力闘争としての場としかなっていなく、政策をつくるという場になっていなく、機能不全といってよい。なぜこうなのか、国会は動物園ではない。国会は立法の場であるはずなのに。2013/06/03
Humbaba
4
日本は民主主義の国であり,その民主主義の中でも現在は二大政党制が敷かれている.その二大政党制は功だけではなくて罪もある.今の考え方ではその罪の部分に光が当てられていない.下手をすればそれは独断専行を助長してしまうだけにつながりかねない.2010/05/07
Masakazu Fujino
2
制度疲労を起こした日本政治で進む二大政党化と二極化はデモクラシーの活性化に必要な多様性や利害対立を否定。政治を構成する人々の異質性や差異に着目尊重し制度に回収されないデモクラシーをめざす、「闘技デモクラシー」のすすめはおもしろい。「闘技デモクラシー」における「敵」とは「友好的な敵」、同じ空間を共有しつつも異なる方向でこの空間を再編しようとする相互依存関係にある敵である。権力の安寧を防ぎ、ヘゲモニーに対する異議申し立て空間を常に開くために「闘技デモクラシー」は重要。なるほどと思うこと多数。2016/10/05
乱読家 護る会支持!
2
自民党の独裁政治もあかんけど、政権担当能力の無い政党が政権をとったら国が滅びかねない。日本は「和をもって尊しとなす(全員合意主義)」「多神教で様々な価値観を容認する文化」である。右か左か、黒か白か、肯定か否定かの二項対立ではなく、いろいろな考えを持つ「人」それぞれの生き方を認めてきた文化。私としては、中選挙区、大選挙区にして、少数政党の存在を認めていく事が、日本らしい政治ではないかと、考えます。2016/03/12