光文社新書<br> 「宗教化」する現代思想

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光文社新書
「宗教化」する現代思想

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  • サイズ 新書判/ページ数 276p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334034597
  • NDC分類 133
  • Cコード C0210

内容説明

プラトン以降の西欧哲学・思想史において、“すぐれた哲学・思想”と思われているものが、いかに擬似宗教(形而上学)化の危険性と隣り合わせにありそのことが哲学者・思想家によってどのように問題化され、論じられてきたのか。本書では、現代思想に特に強い影響を与えたハイデガー、アーレント、デリダなどの論考をてがかりに、思想史の概観を試みる。新興宗教体験を持つ著者だからこそ、現代日本の思想業界に、“生き生きとしたラディカルな思想”を中心とした「真の共同体」を求めるかのような、擬似宗教化の風潮が生じていることが分かるのである。

目次

序章 擬似宗教化する現代思想と「私」
第1章 「真理」の「共同体」
第2章 「比喩」と形而上学
第3章 キリスト教と西欧哲学
第4章 「疎外」と「エデンの園」
第5章 「私」という幻想
第6章 「内面性」の形而上学
第7章 「形而上学」と共存する

著者等紹介

仲正昌樹[ナカマサマサキ]
1963年広島県生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了(学術博士)。現在、金沢大学法学部教授。社会思想史・比較文学を専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

68
最近リベラルの非寛容性が目立つようになってきているが、何故彼らがそのような行動に出るのか。という理解の一助になる一冊。題名に現代思想と付いているが、実際はプラトンからポストモダンまで扱われており、自分のような哲学に暗い人間には入門書としても読めた。印象に残るのは哲学は過程の学問であるがある部分を最終的な結論とする事により宗教化するという部分と、アーレントの「哀れみ」を政治に持ち込んだ事により大虐殺が引き起こされたという部分。月並みかもしれないけどやはり唯一のドグマと正義を旗印にする危険性が思い知らされる。2020/09/05

r.ramone

40
普遍的理性も絶対的な真理も存在が危ういとしたら、自分の拙い想像力を使って生きていくしかないのかもね。少なくとも「自分は絶対に正しい、みんなもそう思うだろう」なんてふうは考えてはいけない。もし賛同者が集まったら、そう考えない人に対する排除の働きがー暴力を伴うかもしれないものがー発生しかねない。2020/08/27

ころこ

39
宗教と思想の区別は明確に無いが、思想がイデオロギー化、単純化することに対する「そうなるかもしれない」という警戒心を持つことが、この罠に嵌らない方法だというのが著者の結論です。最近の風潮だけでなく、宗教と哲学の境界を探る、歴史的に興味深いテーマを扱っています。イデオロギー化、単純化する思想こそ、多くの人達が惹かれる優れた思想である。人類はこの逆説に常に失敗し続けてきた。この問題をどう批判的し、発展的に進めるかという論点が考察されています。平易ですが、平易さをバカにするような人ほど掛かる病だといわれています。2020/01/06

崩紫サロメ

35
著者は11年間統一教会の信徒として過ごし、社会思想・比較文学を専攻した。プラトンからポストモダンについて概説し、その変容としての<宗教化>について語る。哲学とは本来真理への無限の探求であるが、往々にして人は自分が真理だと思ったものを他人に伝えようとしてしまう。その営みを「宗教化」とし、その最大のものとしてマルクス主義を挙げる。統一教会を知るための書物ではないが、著者が統一教会以前以後通してブレない点はこうした反共意識だろうか、などと思った。2022/09/15

ちさと

33
どれだけ論理的に見える体系でも、その出発点には必ず証明不可能な形而上学的な前提が含まれる。マルクス主義(左)を筆頭に、保守(右)でも、また優れた思想や哲学であっても、議論が具体性を失って観念論的になっていき、独りよがりの使命感を抱いて、振興宗教めいた世直しを始める危険性がある。哲学的になる=あらゆる答えは新しい問いというループが役に立つはず。とても興味深く読みました。2018/09/19

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