内容説明
なぜか「江戸はそば」ということになっている。また、東京のそばといえば「江戸以来の伝統」というのが決まり文句だ。だから、現在もなお「江戸っ子はそばに限る」ということになる。これに異論をはさむ人はいないだろう。しかし、江戸も江戸時代初期の頃はうどん一色の「うどんの町」であったことはあまり知られていない。では、江戸はいつから「そばの町」になったのだろうか?また、ただの雑穀であったそばが、なぜ数ある麺類のなかで唯一、「粋な」食べ物になれたのだろうか?―本書では、膨大な史料を紐解き、「江戸そば」成立のなぞを“江戸っ子”というキーワードを軸に検証していく。
目次
序章 江戸っ子はなぜ蕎麦なのか?(『時蕎麦』のおかしみの裏にある「江戸の粋」;そば屋ができても衰えなかったうどんの人気 ほか)
第1章 蕎麦の歴史と由来(そばの始まり;そばの語源 ほか)
第2章 蕎麦の品書き(江戸時代のそば屋の品書き;江戸時代のうどん屋の品書き ほか)
第3章 蕎麦の食べ方(そばの食べ方;江戸時代のそばつゆ ほか)
終章 「江戸そば」の明治・大正・昭和(江戸っ子とそば屋;食の洋風化とそば ほか)
著者等紹介
岩崎信也[イワサキシンヤ]
1954年生まれ。そば研究家。フードジャーナリスト、ノンフィクションライターとしての取材・執筆活動も続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
76
蕎麦と言えば江戸っ子代表の食べ物と連想します。東京の蕎麦は江戸からというのが決まりのようになっていますが、果たしていつから江戸が蕎麦の町になったのかを分かりやすく検証していました。蕎麦が何故粋な食べ物と言われるかの歴史も紐解いています。元々は江戸は蕎麦ではなく、うどんの町だったというのには驚きました。蕎麦は雑穀でしかなかったというのが意外です。それが新しい物好きの気性から、当世風であることが通とされ、古臭いうどんより蕎麦の方が魅力であり広まっていったのでしょう。蕎麦について色々勉強になりました。2015/10/20
コジ
26
「江戸っ子はなぜ蕎麦なのか?」確かに時代小説を読んだりテレビの時代劇を観ても、麺を啜る場面はうどんより蕎麦が多い気がしたので、その答えを求めて読んでみた。答えは序章で述べられているので冒頭の数十ページで目的を果たしてしまった。要するに、初物(新蕎麦)好きで(うどん文化の)上方との違いを見せたい江戸っ子が「うどんよりも蕎麦のほうが粋」と考えるようになったのが徐々に定着し、いつの間にか江戸中蕎麦屋だらけだったらしい。1章以降は蕎麦文化の歴史等の薀蓄で、こちらのほうが興味深く知的好奇心が刺激された。2019/09/10
kk
19
図書館本。開府以来、実はかなりの期間に亘ってうどんが優勢であったという江戸の町。そんな江都において、江戸的な雰囲気の醸成と軌を一に、蕎麦食が根付き発展していく契機や諸相を、同時代的な証言などを拾いながら丁寧に提示。江戸蕎麦関連のトリビアてんこ盛りとか、人を驚かすようなユニークな視点に満ち溢れてるってわけじゃぁなくて、そういう意味ではわりと堅気で真面目な本ですが、蕎麦好きを称するほどの者でもあれば、先ずはじっくり読んでよくよく咀嚼すべき一冊かと。2024/11/29
またおやぢ
7
落語の「時そば」を聴いた後に発見し購入。江戸庶民の食文化の代表である「江戸そば」の歴史を、当時の風物や江戸っ子の意識の変化から辿り考察した意欲作。因みに日本最古の蕎麦屋は京都にあるし、東京で一番古い蕎麦屋の屋号も大阪にそのルーツがあり、この書籍にも登場する「蒸蕎麦」らしきものを提供する蕎麦屋は、大阪府の堺市で300年の歴史を誇る。これらの事実にも関わらず「そばといえば江戸の粋」と思われるまでになったのは、この雑穀を食文化にまで昇華させた先人達の美意識のなせる業か。半可通のそば好きの知的好奇心をくすぐる一冊2016/06/13
takao
4
ふむ2024/05/11
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