内容説明
釈尊が悟り、説きいでた仏教は、歴史の変遷の中で分派の道をたどり、それぞれ趣きを異にし、時には鋭い対立をすら示してきた。だが、より高い観点に立ち、より深い思索をこらしてみるならば、それこそが仏教という宗教の広大さと万人の宗教たる理由を物語っている。釈尊に帰一する各分派の教えは、決して異なった仏教である道理はない。釈尊が説きいでたままの仏教に尋る入り、その源流に立ち全貌を知り得た時、偉大なる宗教の“永遠のいのちの泉”がほとばしり出てくる。ここに存するのが、〈根本仏教〉であり〈大乗仏教〉である。
目次
1 新しい仏教の生まれいでのために
2 新しい立場にたって考える
3 根本仏教の基本的性格
4 大乗仏教の基本的性格
5 人の立場にたって
増谷文雄博士の学問と人生を語る